何十年も永遠に燃えているのは火山だけではありません。
トルクメニスタン共和国のダルヴァザにあるカラクム砂漠には、巨大な穴「ダルヴァザクレーター」があります。砂漠にぽっかりとあいたこの穴からは、常にメラメラと炎が上がっています。
穴の大きさは、直径約84メートルで深さはなんと約20メートル。
想像以上に巨大なものですが、トルクメニスタンは世界有数の天然ガス産出国として知られています。この場所には空想の地獄の門ではなく、現実に地獄の門が存在するのです。
いったいなぜこの「地獄」が始まったのでしょうか?
自然の驚異?
それとも他に理由があるのでしょうか?
ダルヴァザクレーター地獄の門はなぜできたのか?
今から約35年前の1971年。
ソビエト連邦の科学者たちが天然ガスを採掘しているときに落盤事故が起きました。
すると、気づいたときには巨大な穴が開いていたのです。
静電気による発火が原因説
この落盤事故により作業中の重機が穴の中にまさかの落下。
天然ガスが噴き出している場所に燃料を積んだ重機が落ちてしまいました。
その際に発生した静電気によりガスに引火。
「天然ガスが充満している場所…」
穴からは常に天然ガスが噴き出しているので火が消えません。
その状態が今でも続いていると言われています。
科学者が意図的に火をつけたのが原因説
別の仮説があります。
燃えている理由として、有毒ガスが放出されることを懸念しガスに火を放ったのは科学者たちという説です。
実はこちらが有力とされています。
大きな穴が開いた後に洞窟から高濃度の有毒ガスが噴出していることが判明しました。
当時はすぐにガスが燃え尽きて火は消えると見込んで火をつけたのですが、40年以上経過した今でも燃え続けているため大きな誤算になっています。
この穴を塞いで沈火させるには、トルクメニスタンの国家予算1年分という莫大な費用がかかります。とてもではありませんがお金が足りないようです。
まとめ
消したいのに消せない地獄の門。
現時点で、この天然ガスの燃焼を食い止めることは技術的にとても困難だと判断されています。天然ガスの埋蔵量自体が不明なため、今後いつまで燃え続けるのかもまったくの未知。
真夜中から早朝にかけて見える炎は、「地獄の門」という名がピッタリの大迫力で、どこか美しくも見えます。
数十年経っても消えることがない炎、落盤事故によって誕生した「地獄の門」は、今では天然ガスの埋蔵量世界第4位を誇るトルクメニスタンの象徴になっています。