電車に乗るときにはさまざまなマナーがありますが、その中のひとつに携帯電話に関するマナーがあります。
「電車内では携帯電話を使ってはダメ!」
一般常識にもなっているこの事柄ですが、電車の中で携帯電話を使用することはマナー違反になります。過去、新幹線に乗っている中で、後ろの席の人が携帯電話を使い大声で会話をしていたことがあります。
静かな車内に反比例するように大きな声で会話をする人。
他のお客さんのことを考えずに、とにかく大きな声で電話の相手と話をしていました。しかし、その一方で、電車の中で大きな声を出しながら「会話」をしている人もいます。
同じ大きな声なのに、かたや携帯電話はマナー違反になり、かたや会話はマナーの中に納まる。
この違いはどこにあるのでしょうか?
電車内で携帯電話・スマホがマナー違反になる理由
携帯電話がマナー違反になると言われているのは、電車内だけではありません。
飲食店の中でもマナー違反になると言われています。
携帯電話に着信があると、お店の外に行く人も多いのではないでしょうか?
しかし、飲食店でも電車内と同様に「会話はOK」です。
携帯電話を使ったときと、目の前に対面する相手がいる会話にはどのような違いがあるのでしょうか?
苦情の多さと心理ストレス
飲食店・電車などについて、お客さん同士が会話をしていても苦情がくることはほとんどありません。常識を超えたあまりにも大きな声で会話をしているときには苦情が入ることもありますが、面と向かっている人がボリュームをコントロールしながら話をしているので、クレームはあまりありません。
ところが、携帯電話の会話では苦情が多くなります。
なぜ携帯電話は苦情が多いのでしょうか?
実は、アメリカの心理学者であるローレン・エンバーソン氏の論文にその答えがあります。
ローレン氏は実験をおこないました。
同じボリュームで、携帯電話を使った場合と通常の会話をした場合を比較したのです。
すると、会話をしている環境では、周りの人に対するストレスが小さいのに対して、携帯電話を使っている会話に対してはストレスが大きくなることが判明しました。
- 会話 …周囲のストレスが小さい
- 携帯電話 …周囲のストレスが大きい
携帯電話の通話が周囲にストレスを与える理由とは
お店にいるお客さんから聞こえている会話、この普通の会話は内容を理解することができます。
「元気してた~?」
「元気だったよ~そっちは?」
このような会話を脳は理解します。
一方の携帯電話を使用した会話の場合には、内容を理解することができません。
「元気してた~?」
「・・・」
「それであのことだけど・・・」
「・・・」
「わかった それでいいよ」
「・・・」
このように電話を使うと、会話の内容を把握することができないのです。
このことを心理学的に「認知的不協和」と呼びます。人は会話などの内容が理解できないと、脳が大きなストレスを感じてしまうのです。
近くの人が会話をしている話の内容は理解することができるため、自分には関係のないことだと安心することでストレスが小さくなります。
その一方で、携帯電話の通話は電話先の相手の声を聞き取ることができません。何を喋っているのか気になり、脳が自分にとって不要な会話なのかを判断することができないのでストレスが大きくなるのです。そのことから、携帯電話の会話は飲食店や電車では苦情が多くなるため、マナー違反になります。
まとめ
携帯電話の会話は周囲にストレスを与える。
自分は携帯電話で気にせずに話しているかもしれませんが、周囲の人の脳は混乱をしてしまい、大きなストレスを感じています。
会話の内容がわからない。
これは外国語や覚えたての幼児の場合も同じです。英語などの言葉がわからないと脳はストレスを感じてしまいます。
幼児も覚えたての言葉を頑張って伝えようとしていますが、聞いている側はその言葉を理解できないと大きなストレスを感じてしまうのです。