世界各国が研究に凌ぎを削り「人体最後のフロンティア」と呼ばれる脳の世界。
驚異的な脳のチカラを持つヒトや脳の異変がもたらす謎の病など、脳には不思議がたくさん眠っています。
全盲者が反響音を使って「見えている」かのように自転車にも乗ることができる驚きの能力「エコーロケーション」と言われるものがあります。
聞いたことがありますか?
その伝道者として注目のトップインストラクターは、ロンドンパラリンピック金メダリストの全盲スイマー秋山里奈さんを指導しています。
見えないものが見えるようになるという、気になるエコロケーションの能力が気になりますね?
エコロケーションとは
エコロケーションは「反響定位」という意味です。
反響定位はコウモリが有名です。
コウモリは超音波を含む鳴き声を飛ばして、光の届かない洞窟の中を反射音を頼りに飛び回ることができます。
反響音の強弱や反響するまでの時間、音の変わり方で障害物との距離や形状を頭の中で推測して障害物にぶつかることはありません。
ダニエル・キッシュ×エコロケーション
人間でも使う人がいます。
コウモリ以外にも、イルカやクジラもエコロケーションを使うことができます。そして、実は人間でも使える人がいるのです。
全盲者が反響音を使って「見えている」かのように自転車にも乗ることができます。その人物の名は、米カリフォルニア州在住の男性ダニエル・キッシュさん(47歳)です。
ダニエルさんは、「網膜芽細胞腫」という悪性腫瘍をもって生まれ、生後13カ月のときに担当医が彼の命を救うために眼球の摘出手術をして視界を失いました。
しかし、ダニエルさんは自転車に乗ったり、たった一人でトレッキングに行ったり、料理をこなすことができます。
現在、義眼をつけて生活を送っていますが、物体との距離や形状を正確に把握することができるようです。
どのようにしているかというと、クリック音(舌打ち音)を頼りに、離れた場所にあるものの形や距離を正確に判断することができます。
エコーロケーションのクリック音(舌打ち音)
エコーロケーションとは舌先で「チ、チ、チ」という鋭い音を鳴らし、その反響音を聞いて周囲の状況を把握するというものです。船舶が水中や海底の物体を探知する「ソナー」と同じ仕組みになります。
ダニエルさんは、反響で視覚を補い日常生活を送っています。
反響音から周囲の三次元イメージを得ているそうです。
実験によるとエコロケーションを行っている際は脳の視覚を司る分野が活発に働いているらしく、これはまさに「音で障害物を見ている状態」です。
「音で障害物を認識できる衝撃!」
イルカの音波の可視化に成功
イルカが見ている世界を探る研究が、メキシコのドルフィン・ディスカバリー・センターで行われていますが、音波を使って人間をどのように見ているのかを明らかにした画像が初めて公開されました。
収録された音波データは、音波を可視化する「サイマスコープ」の開発者である、ジョン・スチュアート・リード博士のもとへ送られ、イルカが発した音波をサイマススコープで解析したものです。
人として認識できます。
(i.dailymail.co.uk)
「イルカは音波で人の形を認識していた!」
エコロケーションはトレーニングで習得可能
ダニエルさんと同じような能力が、誰にでもできるのでしょうか?
いえ、この能力はすぐに誰でもできるというものではありません。かといって、ダニエルさんだけが持つ能力でもないです。
盲目の少年サム・オルドリッジくんも、舌打ちがエコーロケーションをマスターしています。
このエコロケーション能力はトレーニングを積めば誰でもできると言います。
目を閉じたまま舌先で「チ、チ、チ」音を鳴らし続け、物体が近くにあることを認識できたら音を止める。布や石など素材が違うものでも繰り返す。
健常者でも毎日1~2時間トレーニングしたら、1カ月以内に十分なエコーロケーション能力を身に付けることができると言われています。
まとめ
修行で能力が手に入る。
視覚障害者は五感が健常者と違いワンランクもツーランクも鋭いので、もっと早く習得できる可能性が高いです。
その人の能力に左右されます。
トレーニングで超音波を手に入れることができるかもしれません。