夏の夜空に川が流れ、男女が1年に1度出会う。
「七夕の日」。
地域で日にちのずれがありますが、世間一般では7月7日に七夕を迎えます。
竹といえば「かぐや姫」をイメージする人も多いのではないでしょうか?
あの竹の中に美しい赤ちゃんのかぐや姫を収納することができるのです。
でも、これはおとぎの国の話。
現実世界では実に厄介な存在になっているのが「竹」。
タケノコは美味しいです。
食としての利用価値があります。
その反面、成長した竹は厄介。数も多ければ成長速度も速い。竹箸や飾りなどで成長した竹を利用する場合もあるのですが、竹の数が多すぎて追いつかないのが現状です。
竹を切っても切っても次から次へと「にょきにょき」生えてくる。竹藪(やぶ)が出来て何が困るのか?
その答えは簡単。
「夜・幽霊・竹藪」は昔からセットになっています。
「マインドコントロール?刷り込み?」
夜の竹藪は恐ろしい存在です。
そんな竹も七夕になると大活躍をします。
短冊に願い事を書いて竹に飾る行事があります。木の枝に短冊を飾ると、葉っぱによって空からは見えにくくなるので、やはり竹だからこその七夕飾りと言えそうです。
織姫と彦星が、年に一度だけ天の川を挟んで出会える七夕。
笹の葉に願い事を書いた短冊をくくりつけますが、なぜこのようなことをするようになったのでしょうか?
その由来とは?
また、短冊の意味も見てみましょう。
七夕の由来にまつわる3つの伝説
7月7日は七夕で、笹にお願い事を書く風習があります。
日本では毎年七夕を祝っています。
ただし、一部の地域では8月に七夕を迎えます。
七夕はロマンチックな日ですが、由来を知っていますか?
七夕の由来は3つの伝説があると言われています。
定番の織姫と彦星はその中の1つです。
棚機女の行事
七夕と聞くと中国から日本にやってきたイメージが強いのですが、実は日本独自の七夕伝説があります。
優しいおじいさんが罠にかかった1羽の鶴を助けてくれました。その鶴はそのまま飛び立ちましたが、ある日、助けたおじいさんの家に見知らぬ美しい女性が訪れました。
鶴は別室で機を織ることになりますが、おじいさんとおばあさんには「決して見ることがないように」と告げました。おじいさんとおばあさんは気になって仕方がありません。女性の姿をしていますが鶴だと言います。
そうなると人の好奇心は収まりません。「見てはいけない」理性と「気になる」欲求。頭の左右では悪魔と天使が喧嘩をはじめる勢いです。
おじいさんとおばあさんは悪魔に負けてしまいました。見られた鶴はショックのあまり飛んで行ってしまった。おじいさんとおばあさんは「なんで悪魔に負けてしまったんだ…」と後悔したに違いありません。
そこに残されているのは中途半端な布切れ。でも、おじいさんとおばあさんは人ではなく、鶴の姿で織っていたという疑問が晴れて少しは満足をしていたのかもしれません。
古来より日本では「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれる、禊(みそぎ)の行事が行われていたのですが、これはお盆の前に行われます。つまり、先祖の霊を祭る前の禊の行事として受け継がれています。
7日に禊をするため、前日の7月6日に乙女を選定。選ばれた乙女は、水辺にある機屋にこもって、神様のために心を込めて着物を織ります。
ギコギコギーコギーコと機を織っていくのですが、7月7日の夕方に行われるため、「棚機」から「七夕」に変わったと伝えられています。
(出典:msp.c.yimg.jp)
織姫と彦星伝説
琴座のベガは織女星と呼ばれており裁縫の仕事を、わし座のアルタイルは牽牛星と呼ばれ農業の仕事をしています。
この2つの星が旧暦の7月7日に天の川を挟んで最も綺麗に光を放ち輝くため、年に一度の巡り合いの日と考えられています。
(出典:x1trend.com/)
乞巧奠(きこうでん)説
古代中国の宮廷行事の伝説です。
7月7日に織女星にあやかって、はた織や書道、お裁縫などが上達するように、祭壇に針や糸を供えてお祈りする風習から七夕として伝わりました。
奈良時代に中国から伝来してきた文化だと言われています。
七夕飾り「短冊」の意味
短冊といっても、その種類は非常に多いです。形も違えば色も違う。幼い頃に短冊を作った経験はありますよね?
出来上がった短冊を飾るのは「竹」。
竹はまっすぐ天に向かって成長していく植物です。30mほど伸びる竹もあります。それだけ上空に伸びると風の影響も大きくなります。
笹の葉は天近くで風に揺られると「サラサラ」とした音を出しますが、実はこの音が、「天上からご先祖様の霊を呼ぶ」とされている事から、笹は神聖な植物だと言われているのです。
願いがちゃんと天やご先祖様に届く様にと、気持ちが込められています。願い事を押し付けられたご先祖様はたまったものではないかもしれないので、無理難題なお願い事はやめておきましょう。
笹に願い事を書いて結びつけるのは日本独自の文化。
この笹につける飾りにはひとつひとつに意味があります。
紙衣
棚機女が神様に捧げた着物のため、七夕竹の一番上に飾ります。
病気災害を除く身代わり・裁縫や手芸が上達するように願った飾りです。
投網
魚を捕る網。
豊漁や豊作を願う飾りです。
くずかご
飾りを作ったあとの紙くずを入れて、清潔と節約の心がけを養う飾りです。
短冊
短冊に字を書いて学問や書道の上達を願う飾りです。
中国の五行説から「赤、青、黄、白、黒」が用いられてきました。ただ現在は、「青、赤、黄、白、浅黄、紫」が一般的。
吹流し
織姫の糸をあらわしており、くすだまにたくさん吹き流しをつけることもあります。
巾着
昔のお財布。
節約と貯蓄の心を養う意味と商売繁盛を願う飾りです。
折鶴
家の長者の年の数だけ折り、家族の長寿を願う飾りです。
まとめ
七夕は諸説ある。
七夕には伝説が3つありますが、その中でよく知られているのが「織姫・彦星」伝説。他の2つの伝説よりもロマンチックに溢れた内容になっています。
人はロマンチックを求める生き物。
そのため他の2つよりも現実味のない伝説の「織姫・彦星」が広く知れわたっているのが実情です。
七夕は面白いですね。
短冊に願いを書きましょう!