スリランカのジャングルには巨大な岩があります。
航空写真で見てみると、なにやら岩の上には人工的に造られた建物のようなものがあるのです。
「これはいったいなに?」
そこは古代都市で、今も語り継がれる王様の悲しくも哀れな物語がありました。
シーギリヤ・ロックは、スリランカを代表する世界遺産。
ここには「シギリヤの遺跡」があります。
シーギリヤ・ロックとは
古代遺跡が集中する文化三角地帯の中に「シーギリヤ・ロック」は位置しています。
シーギリヤロックは「奇岩」で、まるでアニメ「風の谷のナウシカ」の世界観が広がっていることから、ジブリファンにも注目されている場所です。
(出典:cdn-ak.f.st-hatena.com)
(出典:d3ftecjsng6jy5.cloudfront.net)
「完全にジブリの世界…」
「シギリヤ・ロック」と呼ばれるこの岩は、標高約370m、岩頸そのものの高さは約195mに及ぶ巨大なもので、岩の頂上には紀元5世紀の王宮跡が残されています。
建造には7年もの歳月をかけたと言われています。
「どうやって登った…」
カーシャパ(カッサパ)1世の悲しき人生
「なぜ王様の宮殿が岩の上にあるのか?」
それは家族間のトラブルが原因です。シンハラ王朝時代、父王を殺害して王位を奪ったのは、カーシャパ王1世(カッサパ)でした。
5世紀のこと。
シーギリヤのダートゥセーナ王には2人の息子がいましたが、身分の低い母を持つ長男カーシャパは、正妻の子である弟モッガラーナに王位継承権を奪われることを恐れていました。
そして、478年に父である王を部下に殺させ、自らが王位に就いたのです。
平民の血が流れるカーシャパが、王族の血を引く義母弟に王位を狙われることを恐れて、この岩の上に自分の要塞宮殿を築きます。18年間の在位でしたが、そのうち11年をこの岩の上で過ごしました。
すごいですね。
11年間も岩の上に隠れていたのです。
その後、亡命先のインドから援軍を引き連れてきた弟王子との戦いに敗れ、カーシャパ王は自分で喉を掻き切って自害。
そしてシーギリヤは陥落しました。
現在は観光地へ、階段の数がすごい!
垂直にそびえるシーギリヤ・ロックは、後世により岩肌に簡易通路や手すりが設置されています。手すりや階段があるとはいえ急な斜面を登っていくため、頂上までいくのは一苦労。
断崖の中腹、らせん階段を登ると、シーギリヤレディの壁画も見ることができます。
頂上までの階段の数はなんと1200段!
(出典:img.guide.travel.co.jp/)
(出典:d340eiag32bpum.cloudfront.net/)
頂上には1.6ヘクタールの敷地に宮殿跡の貯水施設や水路などが整備され、頂上にはカーシャパ王が座る場所がありますが、ここから国の景観を満喫していたのかもしれないし、弟の復讐に怯えていたのかもしれません。
まとめ
復習におびえてたカッサパ。
王様になることだけを夢見て父親を殺してしまった自責の念。
復讐の恐怖に怯えながら暮らしたカーシャパ王。
その崖の上にある宮殿は今、観光地になっています。