小学生のときに音楽の授業で手に取る「カスタネット」。
ゴムを指にはめてカチカチと音を鳴らすアイテムですが、単純な作りなのに音を出していると楽しくなる楽器です。カスタネットを口に見立てて、友達の耳に挟んで遊んだこともあるのではないでしょうか?
ところでカスタネットは色がついています。
「青色」と「赤色」です。
そして、必ずと言っていいほど、上が青色、下が赤色になっています。
何か意味があるのでしょうか?
トライアングルの色の由来は?なぜ青と赤なの?
幼い頃から慣れ親しんでいるカスタネットですが、その色をよく見てみると「青と赤」の2色からできています。
なぜ、青色と赤色なのでしょうか?意味とその理由とは?
人間は地球に住んでいます。地球上に生物が誕生したのは奇跡。この世に単細胞が誕生して複雑な細胞を手にし、様々な形に進化していったのは偶然の産物です。
そのことを考えると、カスタネットの色の答えが予想できます。赤色は太陽の色を表現しており、青色は水、つまり海を表現している。カスタネットの色はこの地球をイメージして作られた楽器ではないでしょうか?
青色と赤色の理由
カスタネットの色が赤色と青色の理由、実は、カスタネットを製造する業者さんがめんどくさかったからという理由です。
カスタネットを作っている冨澤健一さんという人がいます。冨澤さんは2代目の現役ですが、先代の父親が日本で初めて青色と赤色のカスタネットを作った人「冨澤捷」さんになります。
そもそもカスタネットとは、スペインの民謡であるフラメンコから音のリズムをとるために使われているものです。そのカスタネットは木の色や黒のものが主流です。
日本でカスタネットというと、手のひらに置いてカチカチと一定のリズムに合わせてかみ合わせて音を鳴らしていきますが、本場のフラメンコで使用するカスタネットは、指を細かく動かす必要があるため複雑なリズムになり動きがとても難しいです。
日本で広めたいと思ったのですが、このままの状態では子供に扱えない。とても難しい楽器になってしまう。そう考えて少し改良したものが「ミハルス」と呼ばれる楽器です。
(出典:blogimg.goo.ne.jp)
赤色と青色のカスタネットは、ミハルスを改良して誕生した由来があります。
昭和20年代の頃に、先代の冨澤さんのほうへ小学生向けのリズムをとる楽器を作りたいという依頼が入りました。その結果、赤色と青色、それぞれのカスタネットが生まれました。
赤色と青色、別々のカスタネットがあった
赤色のカスタネットと青色のカスタネットが誕生しました。
青色は男の子用のカスタネットです。赤色は女の子用のカスタネットとして分けることにしました。「青色は男、赤色は女」現在も続く色の識別ですね。
ミハルスは指で挟みながら音を出す楽器ですが、子供でも扱いやすく改良をしたことで、手の平に乗せてたたくものに変わりました。
でも、問題が発生。
昭和20年代では、平成30年代に比べて子どもの人口が倍近いほどいましたが、約3000万人ほどです。カスタネットをその数分、用意をしなければいけません。発注量が冨澤さんの元へ集中して、てんてこ舞い状態になっていまいます。
嬉しい悲鳴ですが、頭が混乱してしまうほどの量です。赤が何個、青が何個…、翌日には赤が何個、青が何個…。日によって青と赤の発注件数が異なります。
在庫管理が難しくなってきたそのとき、ついにひらめきました。
「合体させよう!」
こうして、効率よく在庫管理をするために、男女兼用のカスタネットを開発したのです。カスタネットの赤色と青色が一緒になったものが生まれました。その後、赤と青のカスタネットは学校教材に採用されたことで全国に広まっていきました。
まとめ
ミハルスを改良して作られた男女兼用カスタネット。
フラメンコ用のカスタネットを改良して作られたのがミハルス。そのミハルスを子供でも扱いやすくさらに改良したものが、青と赤のカスタネット。
でも、青色と赤色のカスタネットを作ることで、生産数が追い付かずに混乱。そこで、青と赤の色を合体させることで発注管理をしやすくしました。
ちなみに、青が上で赤が下というのも冨澤さんが考えたものです。逆にしても音に違いはありません。