音は常に脳へ送られています。
車の通る音、鳥の鳴き声、チャイム、草木がせせらぐ音、電車の通過音。仮に耳を塞いでも「ゴー」という音が聞こえます。
音は何をしていても耳に入ってくるため、生き物が生きる上で大切な器官であることがわかります。
車の走行音は、車のタイヤから聞こえてきます。
鳥の鳴き声は鳥の口から聞こえてきます。
例えばこれらの音を一緒に出すには「スピーカー」が便利なアイテムですが、バラバラの音源を、なぜスピーカー1つで一緒に出すことができるのでしょうか?
1個のスピーカーから同時に複数の音が出せる理由「仕組み」
演奏会でタンバリンから音を出すと、もちろんタンバリンから音が聞こえます。ピアノも同じように、ピアノ本体から音が出ます。コントラバスもトランペットもトライアングルもフルートも同じです。
すべてそれぞれの楽器から音が出ています。
でも、スピーカーから聞こえる音は複数の音が混ざった状態で同時に聞こえます。なぜバラバラの楽器の音がまとめて1つのスピーカーという機械から聞くことができるのでしょうか?
耳で音をそれぞれ別々にしてるため
実は、耳で音をバラバラにして聞き取っているのです。
そもそもなぜ音が聞こえるのかというと、空気の振動を耳が感じ取っているから。つまり、宇宙などの無重力空間では空気がないので音が伝わらず無音の世界が広がってるということになります。
この原理は打ち上げ花火がわかりやすいですね。花火が打ちあがり、大きく花が咲きます。そして数秒後に「ドーン!」。花火が破裂した場所から観覧席・場所に届くまで時差がありますが、これは音が空気を伝わってくるためです。
花火との距離が近い花火師は、観覧席よりも早く「ドーン!」の音が聞こえていることになります。
音には固有の振動が存在しますが、これは人の声も同じです。全ての音は1つの波形で表示することができます。
ようするに、複数の音を収録しても、出力された音の波形は1つ。2人が一緒に歌を歌うと2つの波形が存在しますが、収録した機械から出る波形は2つの波形を合体させた1つの波形になります。
- 空気の振動が耳に伝わることで音が聞こえる
- 1つの波形=1つの音
2つ以上の音が1つの波形になるため、人の声に楽器の音が加わっても、1つの波形として出力されることには変わりありません。
波形を再現させる機械がスピーカー
この世の音はそれぞれ個別の波形を持っています。でも、2つ以上組み合わされると1つの波形として聞こえてきます。これはどれほど多くの音を組み合わせても同じです。
つまり、この1つの波形を再現することができれば、例え複雑な音でも鳴らすことができるということ。それを可能にした道具が「スピーカー」です。
スピーカーが波形どおりに空気を振動させることで、複雑なオーケストラの音でも再現することが可能なのです。
CDや電子音源などの出したい音の波形を用意します。スピーカーの中にあるプラスとマイナスの磁石に、用意した音の波形を電気の流れで再現させます。そして、コーン紙(スピーカーの前にあるアンテナみたいな部分)を波形通りに振動させると空気が揺れて音が聞こえる仕組みです。
音が鳴っているときに、コーン紙に触れると振動していることがわかるはずです。
耳は複雑な音を聞き分ける
スピーカーは1つの波形を再現することができます。でも、人の耳はたくさんの楽器の音や歌声を聞き分けることもできます。
スピーカーからは1つの波形しか流れてきませんが、人の耳では歌手の声と楽器の音をそれぞれ別々に聞き分けることが可能です。
その理由は、人間の耳に中にある有毛細胞が音をバラバラに分解しているためです。鼓膜の奥になる蝸牛と呼ばれる音をキャッチする器官がありますが、その中に内有毛細胞が存在します。これは音の高さに反応するセンサーのようなもの。
耳の中に入ってきた音は1つの状態で鼓膜の中にある蝸牛に到達。その蝸牛の中で音階によってバラバラに反応します。
1つだった音をそれぞれの音で別々の音階としてバラし、電気信号で脳に伝えることができるため、複数の音として認識することができるのです。
- スピーカー
- 1つの音が耳に入る
- 鼓膜に届く
- 蝸牛が音域を判断
- 複数の音をバラバラにする
- バラバラの状態で脳へ送る
- 別々の音が複数あると認識できる
まとめ
人の耳が複雑な音を再びバラバラにしていた。
スピーカーは1つの波形(音)しか出せません。でも、1つの音なのに人の耳の中でバラバラに聞き分けることができるのです。この能力により、複数の音を同時に聞き取ることができます。
ちなみに、人間以外の動物にも有毛細胞があるため、音を聞き分けることができます。