2009年3月の東京マラソンに参加した松村邦洋さんは、走っている最中に心肺停止に陥る大騒動を起こしています。
当時、日本中を衝撃に包んだこの事件。
松村邦洋さんの命を救ったAED機械、今日も誰かの命を繋いでいるAEDの使い方を確認しましょう。
松村邦洋は自分に甘すぎてしくじり
松村さんはその騒動が「自分に甘い性格」にあったと分析しています。
自分に甘いことで“おデブ”になってしまい、その結果、練習もろくにせずマラソンに挑戦してしまったと語る松村さん。
一度死にかけた松村邦洋さんが命の大切さを熱く語ります。その時なにが起きたのか振り返ってみましょう。
マラソンに目覚める松村邦洋
松村邦洋さんは、ビートたけしさんや掛布雅之さんの物まねで注目され、1990年代は「進め!電波少年」のアポ無し取材で大注目され人気者でした。
もともとは中肉中背だと語る松村さんは、「自分に甘い性格」が原因で、どんどん太っていき少しずつ身体に負担をかけていたのです。
太りはじめて十数年経ったある日、自分自身の変化に気づきました。松村さんは自分の身体にショックを受けてダイエットを決意。
その中でマラソンに出会い、オーストラリアのゴールドコースト・マラソンで初めて制限時間内の6時間51分40 秒で完走。
2007年7月1日のゴールドコーストマラソン2007に参加して初フルマラソンに挑みましたが、このマラソンは7時間10分以内にゴールしないと完走と認められないもの。
しかし、松村さんは諦めずに9時間9分6秒かけて走りぬきます。
2008年は2月17日東京マラソン初挑戦も35km地点で時間切れ。2008年7月6日のゴールドコーストマラソン2008に出場して6時間51分40秒で完走できて初めて制限時間内にゴールしました。
そして2009年3月22日行われた東京マラソンに参加を決意します。
松村邦洋が倒れる
2009年3月22日行われた東京マラソン。
松村邦洋さんが突然倒れたのは15キロ地点の手前でした。
ストレッチをしようとしたときに突然意識を失い、後ろにひっくり返るようなかたちで路上に倒れ込んだのです。
その姿は周囲の人も焦ってしまうくらい危険な状態で、呼びかけても反応はなく、ぐったりした様子で、口から泡を吹いて目はうつろの状態。
東京マラソンは救急がいつでもトラブルが起きた参加者を助けるためにスタンバイしているため、幸い救急救命士のボランティアの方たちによる適切な対応で呼吸が復活しました。
「本当に危なかった…」
松村さんを救ったのはAED(自動体外式除細動器)という機械。緊急処置で呼吸が回復して病院に付く前には意識も回復しました。
酸素が数分間脳にいかないと後遺症が出る恐れがあります。松村さんは大丈夫だったのでしょうか?
脳に関する病気になるため、後遺症は様々で意識障害、精神症状、記憶障害、混迷など多岐に渡ることが予測されます。
「心肺停止から心肺蘇生着手までの時間」や「最初の除細動までの時間」などで身体のダメージは大きく変わり、心停止先行の場合は3分、呼吸停止先行の場合は10分を経過すると死亡率が50%を超えます。
松村さんは、倒れてからの応急措置が素早かったため、脳が虚血になった時間は短かく、後遺症はほとんど無いと見られています。
もしもの時のために、松村さんの命を救ったAEDの使い方を改めて確認しておきましょう。
大手デパートや球場、ショッピングモール、美術館や役所など設置場所が徐々に拡大しています。一人の命を救うためにも使い方を頭にインプット!
AEDの使い方
AEDは、自動体外式除細動器の略で、コンピューターによって心臓のリズムを調べます。そして除細動を確認して電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。
使用中は指示に従い、離れるよう注意してください。
倒れている人を前に電気ショックを本当に与えていいのか不安に思う人も多いですが、この機械を使用すると自動で必要かどうかを判断してくれるので安心です。一般の人でも簡単に使用できる仕組みになります。
- 電源ONにします。(AEDの種類によってはふたを開けると電源が入るのもあります。)
- 電源が入ると音声が流れるので、その指示に従っていきましょう。
- パッド(電極)の装着、衣服をはだき、何もつけていない胸にパッド(電極)を貼り付けます。貼り付ける場所は心臓を挟むような位置に貼り付けるようにしますが、パッドに絵が書いてあるのでそれに従います。また、胸に金属類や汗などの水分があると効果が低くなる場合があるので取り除きます。
- 機械が心臓の波形(心電図)を読み取るので、コネクターを挿して、パッドと機械を繋げましょう。パッドと機械がつながると、心電図の読み取りが自動的に始まり解析されます。この際、誤作動が起きないように倒れている人に触れないようにしましょう。除細動が必要な心電図なら「除細動が必要です」のメッセージが流れると同時に充電を開始します。
- 「ショックが必要です」のメッセージが流れた場合は、誰も患者に触れていないことを確認しましょう。
- 充電が完了して除細動の準備が整ったら、点滅するボタンがあるので、それを押すと除細動(電気ショック)を実行します。
- 除細動が完了すると「ただちに胸骨圧迫を開始してください」などのメッセージが流れるので心臓マッサージ等を行います。心肺蘇生を再開して2分ほど経ったら、再度解析が始まるため、患者には触らないでください。蘇生しない場合はAEDが再度「ショックが必要です」とメッセージを流します。
まとめ
知識あれば救える命がある。
1年間に目撃された心停止に対して現場のAEDが使われた数は667件(s.2010)にのぼります。
しかも、その45%が救命されています。
AEDを設置するだけで突然心停止になった人を助けることはできません。
設置されたAEDをいつでも使えるようにしておくことが大切です。
AEDを使える人を増やすことが重要です。