2018年のこと。
それは突然起きた。
場所はイギリスのオックスフォード。ここに幸せそうな家族が住んでいました。マシューズ家は長男のクリス、彼女のエマ、そして両親の4人暮らし。仲もよく家族全員はいたって健康です。
平凡な日常に刺激が欲しい、そして癒しが欲しいと思ったのでしょう。新しく犬と熱帯魚を飼うことにしました。でも、その幸せはあることをきっかけにして、恐怖の道へと足を進めていたのです。
イギリスで家族が倒れる謎の事件
熱帯魚は部屋のワンアクセントになります。アクアリウムの水槽をおくだけで上品さもアップ!
さらに、アクアリウムにはセラピー効果があるので、日々のストレスを和らげる癒し効果にも期待ができます。森の中で流れる水の音って癒されますよね。テラリウムではこの音や環境も再現することができます。
そんな癒しの生活に包まれていたマシューズ家に突然悲劇が襲い掛かります。
長男と彼女が咳と頭痛を発症
ある日、長男のクリスが激しい咳をはじめたのです。咳は本当に苦しいです。咳は身体の中にウイルスが入らないように外へ出す反射防御ですが、喉が痛くて辛い経験をしたこともあると思います。
突然、激しい咳に苦しみだすクリス。でも、それだけは終わりません。激しい頭痛が襲ってきました。風邪にしてはおかしな症状。あまりにも突然に発生している…。
苦しみだすクリス。
その症状は彼女のエマにまで現れました。苦しみだす二人…。あまりのひどい吐き気に見舞われたため、二人は病院に行くことにしました。
そこで下された医師の診断は「風邪」。
激しい咳と頭痛の原因は風邪だと言われました。「なんだやっぱり風邪か…。」と安心した二人。でも、おかしなことが起きていたのです。
なぜか家にいたときの激しい咳が、病院に行くとまったくしなかったこと。これは二人とも同じでした。あれほどの辛い咳なのに、病院に行くと咳をしなくなる。
病気の発生源に対して厳しく管理されている病院のため、ウイルスがほとんどいなかったから?そうなると、マシューズ家はウイルスの巣窟ということに…。
家族全員が倒れる
風邪ウイルスが充満しているであろうマシューズ家。
二人が帰宅すると、再び激しい咳を再発します。やはりこの家にはウイルスが住みやすい環境にあるということなのでしょうか?
病院で処方された薬もまったく効きません。症状は落ち着くどころか悪くなる一方。咳が止まらず頭痛も…
「もうダメだ…」
ついに意識を失ってしまいました。本来の風邪は、風邪ウイルスと身体の中にある免疫力が戦います。その時に熱が発生して身体が辛くなるのですが、症状は比較的緩やかに移行するのが一般的。
風邪ウイルスが驚異的なスピードで進化をしたことで、これまで人類が経験していない未知の攻撃を受けてしまったのでしょうか?マシューズ家がウイルスの巣窟だとするのなら、ありえない話ではないのかもしれません。
二人が倒れたときと同じ頃、実は両親も同じ症状に陥っていました。
辛い咳や激しい頭痛に見舞われ、母は呼吸困難へ。意識がなくなりました。父は急いで救急車を呼ぼうとしましたが、電話口で倒れてしまいました。
- 激しい咳
- 頭痛
- 体中に痛みが走る
- 吐き気
- 呼吸困難
恐るべしウイルスの逆襲。家族全員が倒れてしまいました。
救急隊員も倒れる
途中で切れた救急の電話。救急センターでは発信源を割り出し、救急車にのって救急隊員が現場に急行します。
現場に到着した救急隊員ですが、家に入った瞬間、咳が出始め苦しみ出しました。呪われた家…。
家族全員が次々と倒れ、救急隊員もその家に足を入れると意識がもうろうとする。これはまるで有毒ガスが充満しているかの状況です。
風邪ウイルスにしてはおかしい…
そう思い、原因を突き止めることにしました。調査をおこなったところ、思いもよらないものが原因だと判明しました。
家族全員が倒れた原因は毒サンゴ
風邪が原因だと思われていた症状ですが、調査の結果、症状を引き起こした原因の正体は「毒サンゴ」だということがわかりました。
「マウイイワスナギンチャク」という種類です。
(出典:i1.wp.com)
マウイイワスナギンチャクのヤバすぎる猛毒
一家に置いていたのはどうやら淡水水槽ではなく、海水水槽のようですね。マウイイワスナギンチャクを水槽に入れると、海のひまわりみたいでとても綺麗に見えます。
でも、絶対に安易にいれてはいけない生物です!
マウイイワスナギンチャクは、ハワイのマウイ島近海に生息するサンゴの一種ですが、パリトキシンと呼ばれる非常に強い猛毒を持っています。
どのくらいの威力の毒があるのでしょうか?水槽にいれているはずのサンゴですが、水中を飛び超えて空気中にまで毒が拡散されるほどです。それだけで危険度がわかります。
実は、世界の猛毒生物ランキングで1位を獲得しています!
- 毒性はフグの約60倍!
- 青酸カリの約8000倍!
- 毒蛇インランドタイパンの500倍!
毒が体内に入ると、風邪の症状や筋肉痛を引き起こします。
症状が悪化、重症になると、心臓と肺の血管などを急速に収縮させます。血管は酸素も送っています。つまり、酸素が送ることができなくなるため窒息死につながるのです。
知識がないのに知らない生物を飼うのはダメ絶対!
クリスは浮かれ気分でアクアリウムをはじめようとしました。でも、サンゴの毒性を知らずにネット通販で購入してしまいました。
水槽では電化製品を使用するため、自然界にはないものを使います。モーターの振動や音波などの影響を受けたのでしょう。また、水槽の掃除で刺激をした可能性も。サンゴが何らかの刺激を受けて猛毒の粘液を分泌。
それが流れ出し、その毒が水槽内からポンプを伝わり蒸発。猛毒が気化したことで部屋中に充満していたのです。猛毒ガス部屋化。家族は気づかないうちに鼻や口から毒を取り込んで体調不良になりました。
まとめ
生体の特性をよく知ることが大切。
救急隊員に助けられたマシューズ一家は、奇跡的に一命を取り留めることができました。
今、咳をしていませんか?
その咳、ひょっとしたら…