柏餅は美味しいです。
もちもちとした食感がたまらなく美味しいですよね。柏餅はスーパーマーケットなどでも購入することができますが、ふと違和感を覚えないですか?
「葉っぱの色が違う!」
目の前にある柏餅をよく見ると、葉っぱの色が違うことに気が付くはずです。緑色と茶色の葉っぱを使用しています。
葉っぱは枯れると色を変えますが、外に生えている木を想像するとわかりやすいです。緑色の葉はやがて茶色になり、いつの日かその姿を消します。
ようするに柏餅の茶色の葉は、時間が経っている葉を使用しているということなのでしょうか?
「枯れた葉っぱを使ってる!?」
そうなると衛生上の問題が気になりますが、果たして真相、その違いの意味とは?
柏餅の葉っぱで色が違う理由とは
柏餅の葉っぱが緑だったり茶色だったりする意味を見てみましょう。
実は、柏餅の葉っぱが「緑、茶色」の理由は、その和菓子屋さんが「何を大事にしているか」により違いが出ます。
柏餅の由来
柏餅の由来を見てみましょう。
子供の日に食べる柏餅は、江戸時代に江戸で考案された和菓子になります。
「槲の葉は、 新芽が出るまで古い葉が落ちない」ことから、家系が絶えずお家安泰・子孫繁栄というめでたいものとされ、餡入りの餅を包むのに使われたのが始まりだと言われています。
槲の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちないということから、家系が絶えずお家安泰・子孫繁栄になるとされる縁起物。
食べたあとが大変です。昔は蛇口をひねって水が出る便利な時代ではありません。井戸の水をくみ上げるか川から持ってきていました。
ベトベトになった手を洗い流すだけでも、水を再び持ってこなければいけない手間がかかります。
そこでコストのかからない身近な葉っぱを使ったのです。葉っぱにまくことで手がベタベタすることを回避できました。そして、手のばい菌がお餅につくことも防ぐことができます。
そして柏餅を嗅ぐと良い香りがしてきますが、これは槲の葉に含まれる匂い成分「揮発性物質」を発散させているためです。
お餅を食べると同時に香りを楽しみながら食べることができるため、季節を感じながら端午の節句を祝うことが可能です。
さらに、樹木の枝や葉が傷ついたときの自浄効果として発散される物質「テルペン系物質」が含まれています。この物質により殺菌効果がうまれるため、通常の保存よりも柏餅が腐りにくくできます。昔は冷蔵庫などがないので貴重な手段でした。
- お家安泰
- 子孫繁栄
- 手がべたつかない
- よい香りがする
- 殺菌作用がある
柏餅に葉っぱを巻く意味
柏餅の葉っぱは縁起物
端午の節句に出される餅菓子は、「家系が絶えずお家安泰・子孫繁栄」という意味が込められています。槲の葉はめでたい行事にぴったりの葉でした。
衛生的で食べやすい柏餅の葉っぱ
餅はベタベタしているため、手づかみで食べると手にベタベタついてしまい大変です。葉っぱにまくことで回避でき、また、手のばい菌がお餅につくこともありません。
柏餅の葉っぱは香りも楽める
槲の葉は、匂い成分である揮発性物質を発散させています。お餅を食べると同時に香りを楽しみながら食べることができるため季節を感じながら端午の節句を祝うことが出来ます。
柏餅の葉っぱには殺菌効果もある
樹木の枝や葉が傷ついたときの自浄効果として発散される物質「テルペン系物質」が含まれているため、殺菌効果により通常保存よりも腐りにくくなります。
柏餅の葉っぱが緑と茶色の意味とは
柏餅の歴史はわかりました。なぜ葉っぱの色に違いが出ているのでしょうか?
実は、関東と関西で葉っぱの種類が異なります。関東地域では「槲(かしわ)の葉」が使われていますが、関西地域では「サルトリイバラの葉」が使われています。
そして、葉っぱの色の違いは4種類の加工の仕方によって緑色と茶色に分かれることになります。
- その年の春に収穫された生葉 …緑色 = 生柏葉
- クエン酸を加え銅釜で茹で塩漬け真空パック …緑色 = 特選柏青葉
- 生葉を乾燥させたもの …茶色 = 乾燥柏葉
- 塩漬け真空パック …茶色 = 殺菌煮柏
本来の柏餅が出回る時期は端午の節句期間になりますが、新暦の5月5日では柏の葉がそれほど大きくなっていません。
お餅が包めないため、柏餅の葉は昨年度の葉を貯蔵したものが使われていました。そのため緑色ではなく、茶色に変色したものが江戸時代では一般的だったと言われています。
まとめ
葉っぱが枯れたわけではない。
江戸時代では加工技術が進んでいなかったため、一年越しの葉っぱが使用されていました。
しかし現在は違います。
ようするに、伝統的なのは茶色の葉をわざと使っているのですが、緑の方が鮮やかな見た目と香りが強く出るため、お店の判断により葉っぱの色が変わっています。