「クレヨンしんちゃん47巻で衝撃が起きていた件」
しんのすけが通う幼稚園の教諭「まつざか先生」、スタイルがよくて美人だけど、人はいつ死ぬのかわからない。元気だったあの人がある日を境に突然いなくなる。その瞬間、人は大きな悲しみに包まれることだろう。
これは10年以上前に発売された巻ではありますが、あまりの衝撃的な内容がつづられているため多くの反響を現在でもよんでいます。
その内容についてクレヨンしんちゃんのファンは知っている人が多いのですが、クレヨンしんちゃんにそこまで入り込んでいない人は知らないかもしれません。
事件はしんちゃんが通う幼稚園の先生「まつざか先生」とその彼氏「徳郎さん」の間で起きました。
まつざか先生が恋する行田徳郎の存在
彼女は今日も男を探し回っていた。
彼女の名前は「まつざか梅」。しんのすけが通う幼稚園の先生です。彼女はとてもスタイルがよく美人。男たちは彼女の美貌に惹かれて寄ってくる。それはまるで虫が電気に集まるように。
「しかしまつざか先生には彼氏ができない」
男を釣るあと一歩手前でいつも本性が出てしまうからです。見栄張りで浪費家の姿を見た男たちは彼女のところから後ずさりをしながら逃げていく。決まって逃げていく男たちの顔には「タラ~ン」という汗が描写されています。
「彼女は今日も泣いていた」
しかしそんな彼女にも春が訪れました。長い長い冬が続き、身も心も凍り付くほどの長い冬。周りを見渡すとホッキョクグマしかいないような極寒の冬に長い間さまよっていました。
「でも、ようやく春がやってきた!」
奇跡的な出会いで彼氏を作ることができました。
彼の名は「行田徳郎」。
他の男たちはまつざか先生から逃げていきました。しかし徳郎さんだけはまつざか先生の元から離れることはなかった。
「物好きなのか?怖いもの見たさってやつか?」
いえ、行田徳郎はまつざか梅を愛していた。メロりんラブです。ようやく彼氏をゲットすることができたまつざか先生。彼女の鼻の穴は大きく開きそこから鼻息が激しく行き来をする。
行田徳郎に災難が襲い掛かる
両想いになった二人はついに結婚を考えるようになりました。そしていつかの「結婚」を夢見るようになります。
(出典:アサヒTV)
「見よ、この幸せそうな二人の顔」
長い間苦労した末にようやく見つけた赤い糸。まつざか先生はその赤い糸を決して離すことはありません。
しかし人生というものは時に残酷な現実を突きつけます。そのまま二人は結婚をすることができませんでした。行田徳郎さんは死んでしまったのです。
漫画「クレヨンしんちゃん」はこれまでにも大切な何かが「死ぬ」ということは度々描かれています。
例えばしんのすけが見つけた雀が最後には死んでしまう話。シロが世話をしていた子猫が最後には死んでしまう話。映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」では親しかった侍がしんのすけの目の前で死んでしまう。
「…、ネタバレごめんなさい(oh…)」
行田徳郎との出会い
まつざか先生と徳郎さんはどのように出会ったのでしょうか?
まつざか先生は「ばら組」先生。隣の「ひまわり組」を馬鹿にしています。ひまわり組のよしなが先生とはよく口喧嘩をすることが多いです。
でも、決して仲が悪いというわけではありません。「喧嘩するほど仲が良い」という言葉がピッタリ合う関係。まつざか先生は根っからの性格が悪いわけではなく、男運があまりになさ過ぎて、性格が少しだけひん曲がってしまったくらい。
一方の行田徳郎さんは「サンタバーバラ接骨院」に勤務する接骨医。年は26歳。とても真面目な性格で何よりも「骨」が好き。三度の飯より骨が好き。
ある日のこと。まつざか先生がまたやってしまった。飲みすぎました。べろんべろんに酔っぱらっていたまつざか先生は泥酔して階段から転げ落ちてしまいます。
「その際に負傷」
怪我をしたまつざか先生は治療をするためにサンタバーバラ接骨院で診察を受けることにしました。このときに診察をしてくれたのが行田徳郎医師。
まつざか「まぁ↑いい男///」
獲物を仕留める狩人のスイッチが入ります。それからまつざか先生はたくさんアプローチをかけていき行田徳郎と恋人同士に発展していきました。
「絶対に手放したくない」
最愛の男性をようやく見つけることができました。彼以上の人はもう二度と表れない。梅と徳郎はフジテレビが月9で流しそうなラブストーリーを続けていき愛を温めていった。
ニンマリ顔をしたまつざか梅の鼻が地面に食い込む勢いなほど。
出張で海外にいく行田徳郎
徳郎さんは骨が好き。とにかく骨が好き。梅さんのことも好きですが骨も好きです。
ある日のこと。彼は「ブタバナザウルス」の化石を発掘するためにアフリカにいくことになりました。
離れ離れになる二人ですが、まつざか先生は彼を見送ります。この先の彼の人生に不幸が起きるとも知らずに。
「そしてアフリカへ渡った数日後に行田徳郎に悲劇が起きる」
彼はホテルで手紙を書いていました。休憩をしようと外へ出ますが、帽子を忘れていたことに気がつきます。そしてホテルに取りに帰りました。
ドォーン!ズズーン!
地面が揺れる激しい音と共に多くの悲鳴が聞こえてきました。爆弾テロです。まさか…。音がする方向、人々が逃げてくる先にあるのは徳郎さんが泊まっていたホテル。
「まさか…」
嫌な予感は的中しました。宝くじや競馬で的中するのはうれしいですが、このような予感の的中は勘弁してほしい。
ホテルにきた何者かが黒いバックの中に爆弾を仕掛けていたのです。誰でもよかったのでしょう。テロ…。犯人がおいたバックにより無差別爆弾テロに巻き込まれた行田徳郎は命を落とした。
(出典:ivedoor.blogimg.jp)
生きる気力を失うまつざか梅
日本で愛する人の帰りを鼻を伸ばしながら待つまつざか先生。彼が死んだことを知る由もありません。でも、いつかは彼女の耳に入る悲しい事実。
「行田徳郎が死んだ」
受け止めきれない話を聞かされたまつざか先生ですが、意外にも彼女は明るく振舞っていました。海外にいくリスクを知っていたのかもしれません。世界ではテロリストがうごめいていますが、彼女は彼を送り出すときに「覚悟」を決めていたのかも。
「いや、そんなわけはない」
園児や先生たちの前では明るく振舞うまつざか先生。彼女は心の中で泣いていました。どうしようもなく泣いていました。辛い。生きているのが辛い。彼のことを思い出すだけで涙が止まらない。
徳郎さんが死んだことを知らされたときから彼女はアルコールを毎日飲み続けていたのです。
まつざか「徳郎さん・・・どうして・・・」
精神的な疲労と大量のアルコールにより身体はボロボロ。なぜここまでして飲み続けるの?まつざか先生にはある目的がありました。
まつざか「徳郎さんは爆弾でボロボロになって死んだ。わたしもボロボロになって死ぬからね・・・そして・・・あなたのところへ・・・」
これはマズイ。青汁よりもマズイ状況です。「う~ん、マズイもう一杯!」などと呑気なことを言ってる場合ではありません。まつざか先生は危険な状態です。
「徳郎さんを追って死のうとしていた」
アルコール漬けの日々は続きます。そして自分を完全に見失う。彼女の仕事は園児を扱う仕事。その仕事中にお酒を飲んでしまい見つかってしまいました。謹慎処分へ。
「もう嫌だ…。はやく徳郎さんに会いたい…」
(出典:livedoor.blogimg.jp)
まつざか先生は限界でした。悲しみに押しつぶされそうになっていました。アルコールだけではなかなか死ぬことができません。
街では毎日のように喧嘩を繰り返していました。自暴自棄。そしてある日、街で不良に絡まれ決闘を挑まれることになるまつざか先生。
「まつざか先生は喧嘩を買ってしまう」
そして不良グループのリーダーとボクシングで決着をつける事になるのですが、まつざか先生は反撃をしない。顔は痛々しく腫れあがりいつ倒れてもおかしくない状態です。でも…、まつざか先生は倒れなかった。
殴り殺されようとしていたのです。
徳郎さんに会うために。
しんのすけが徳郎の手紙を渡す
殴り続けられるまつざか先生。そのとき!
しんのすけが徳郎さんのお母さんから預かってきた手紙を持ってきました。ボクシングのオーナーに渡して読み上げてもらいます。
徳郎さんが爆弾テロに合う直前に書いた手紙。それはまつざか梅に宛てた手紙でした。徳郎さんが生前に外国で書き遺したまつざか先生に宛てた手紙だったのです。
徳郎「いつも野獣のような子供たちを追いかけて本気で遊んでいる君の姿は生き生きしていて魅力的です。君は強そうに周囲には見せているけど実は涙もろくてお人よし。君のそんなところに僕は惚れたんだと思う」
まつざか先生は相手に打たれながら聞いています。ボコボコにされながら聞いています。
徳郎「大変なことがこれからいっぱいあると思いますが先生の仕事はずっと続けてくださいね。僕に会えなくてさびしいときは空を見上げてください」
まつざか先生は徳郎さんが残した言葉に我を取り戻した。
(出典:msp.c.yimg.jp)
まつざか先生は再び生きる気力を取り戻す。そして見事ボクシングの相手に勝つことができました。
(出典:livedoor.blogimg.jp)
っという「夢オチ」を予想していたのですが、どうやら現実だったようです。彼は本当に亡くなってしまいました。
「クレヨンしんちゃん」。
ギャグ漫画。
見事なまでの「鬱回」になっています。
徳郎の死亡で多くの反響をうむ
2007年夏に「月刊まんがタウン」に掲載されたことで多くの反響を呼ぶことになりました。
「テロで亡くなり残されたものが後追いをする」
子ども番組でもあるため賛否が分かれる内容に多くの声が飛んでいました。アニメでは徳郎さんの事件のことがなかったことになっています。
- いや、徳郎さん自体がいなかったことになっている?
- それとも徳郎さんのことをすべて受け止めたうえで次の人生に進んでいる?
おそらく後者でしょう。
まつざか先生は今日も前向きに男を探し続けています。
まとめ
まつざか先生の彼氏募集は終わらない。
「日常が突然壊れる」
誰しもいつかは訪れること。
大切な者を失うと人はここまで変わってしまうのです。無差別テロの裏では悲しみや絶望に暮れる人がいる。そのことを忘れてはいけない。
そしてこの話では、まつざか先生の別の顔を見ることができました。まつざか先生の内面が強く描かれているため、彼女の本当の心優しい性格が伝わってきます。
ちなみに、以前の巻で、まつざか先生と徳郎さんはデートをしました。でも、公園にある「別れる」と有名なボートに知らずに乗ってしまいます。
▼あらすじ
「公園のボートに乗ったカップルは別れてしまうという噂がある。子供達は、まつざか先生と徳郎先生が乗らないようにするが...」
事実を知ってショックを受ける二人に、ボーちゃんが気転をきかせて「橋の上でキスをすると別れない」と言い、その巻はハッピーエンドで終わったけど…やはり…
クレヨンしんちゃん濃い。でも濃いからこそファンの心を離さないのでしょう。