東京スカイツリーは「東京都墨田区」にありますが、その近くを流れるのは「隅田川」。
花火大会も行われ全国的にも有名な川になります。
「た~まや~!」
ところで…
おかしなことに気づきませんか?
読み方は同じ「すみだ」なのに「墨田」と「隅田」でなぜか表記が違います。
いったいこの違いはどこから出てきたのでしょうか?
墨田区 「墨」と隅田川「隅」 漢字が違う理由
墨田区 の「墨」
隅田川の「隅」
読み方は同じなのに漢字が違う理由は、東京23区の名称決定に影響した漢字表の存在にあります。
「さかのぼること江戸の時代」
墨田区が誕生したのは、東京が35区から22区(後に23区)に移行した1947年3月のこと。
「隅田川」は「角田(すみた)」を流れる川ということから、名づけられたと考えられています。ある集落が持っている「田」の中 で、農地の中央にあるのが「中田」、そしてすみっこにあるのが「角田」と名付けられました。
「角田(すみた)」は「住田」や「隅田」とも書かれ、「すだ」とも 読み、「須田」・「墨田」などとも書けます。明治時代は南葛飾郡の「隅田村」が、大正12年には「隅田町」になり、昭和7年には「東京都向島区隅田町」へ。
ところが昭和22年3月15日に北部区域の「向島区」と南部区域の「本所区」が合併して、新しい「区」が誕生し、「墨田区」が生まれました。
当用漢字表に「隅」の字がなかった
なぜ歴史のある「隅田川」・「隅田村」・「隅田町」などの漢字を使わなかったのでしょうか?
それまであった本所区と向島区が統合されてできましたが、初めはこれまでの歴史から隅田川に使用されている漢字の「隅田区」になる案が有力となり、結果、隅田区が第一に選ばれ区会に送られました。
しかし前年の1946年11月に内閣告示された当用漢字表に「隅」の字がなかったことを理由に「隅田区」は採用されなかったのです。
ちなみに地元で「隅田川」として親しまれている川ですが、昔は荒川の支流という位置づけに過ぎず、歴史的には「墨田川」や「角田川」などの表記もあります。
墨田区誕生から20年近くたった1965年の河川法施行で正式に「隅田川」になりました。
隅田川周辺は現在も「隅田」と「墨田」が混在しています。
川沿いにある公園は「隅田公園」があり、夏の風物詩である花火大会は「隅田川花火大会」と書きます。そして、学校では「墨田幼稚園」や、「墨田中学校」、そして「墨田川高校」と明記されています。
誰でも知っている「隅田川」の「隅」の字が、戦後の日本を新しく改革しようとしている政府から、「使うことは好ましくない字」とされていました。そこで様々あった「すみだ」の当て字の中でも、言葉の響きの良い「墨」の字を採用することになったのです。
まとめ
墨と隅の漢字には歴史がある。
ちょっと複雑な歴史がありました。
漢字表とは、「法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で使用する漢字の範囲を示したもの」とあり、国民生活の上で使う漢字を1850字に制限したものです。
そして「隅」は1981年の常用漢字表で採用されています。
漢字表の影響により、「隅田区」ではなく「墨田区」と変更。「隅田」という漢字が歴史や住民の間で人気でした。「隅田」という漢字が多くの場所で今も使われています。