アクアリウムで水草を育てるためには、「CO2」が大切になります。
発酵式添加は、発酵作用を利用したCO2添加方法になります。
発酵式CO2の作り方はとっても簡単です。
ちょっとした実験感覚で楽しみながらやることができるので、夏休みの自由研究などにも向いていると思います。
発酵式CO2装置で水草を生き生きさせる
酵母菌であるイースト菌や乳酸菌のエネルギーを促すために有機化合物を酸化させ、「アルコール」・「有機酸」・「二酸化炭素」などを作り出します。この発生した二酸化炭素を水槽内に溶け込ませる方法になります。
CO2添加で美しくなる水草
水草の中にはCO2が無ければ育てることが困難のものや、アナカリスやウィローモスのようにCO2を特別に添加せずとも、水槽内にある微量のCO2だけで育成が可能な場合もあります。
CO2が特別いらない水草も、CO2を添加することで気泡をつけながら活溌に光合成が行え、見た目も美しくなります。
発酵式CO2添加のメリット
- 初期費用が安価
- ランニングコスト(維持費)が安い
初期投資の費用において、小型CO2ボンベはセットでも7千円から1万円~になります。大型ボンベはそれ以上します。しかし、発酵式のランニングコストは小型ボンベと比較した場合です。
大型ボンベと比べると発酵式は割高になります。大型ボンベの場合はレンタルになりますが、1年の効果が持続して3000円程度で済みます。
発酵式CO2添加のデメリット
- CO2添加量が調整不可
- CO2添加停止が出来ない
- 低圧力
- 手間がかかる
発酵式はイースト菌の発酵速度に全てを依存します。
反応速度は外気温の変化により左右されるため、暑い夏にはCO2添加量が多くなり、寒い冬は少なくなります。夏と冬の気温差で材料の調整などが必要です。
ボンベ式はタイマーが付いているため、必要のない夜には二酸化炭素の添加を止めることが出来ます。
しかし、CO2が減り続けるボンベ式と違い、CO2が増え続ける発酵式ではペットボトルの破裂を回避する必要があるため止めることが出来ません。
必須ではありませんが、生体の酸欠を防ぐ意味でも基本的には添加を夜に止める必要があります。
対策として、二分岐を付けることで夜は水槽内にCO2が入ることを防げます。また、エアレーションを行うことで酸素量が増えるため安心です。
毎回オンオフの切り替えが大変ですが、エアレーションの場合は、照明などで使用をするタイマーを購入し、エアレーションに付けて夜だけ作動するようにすると便利です。
ボンベ式と違い、発酵式は圧力が低いです。
エアチューブの先端を水槽の底に設置すると水圧でCO2が出ない場合があります。
最初は出ることがあっても、次第にイースト菌の力が弱まると出ていかなくなる可能性があります。水槽の中~上に設置すると良いでしょう。
アクアリウムは癒やしですが、育てているものは生き物であり「飼育」です。飼育はある程度の手間がかかります。
犬や猫などの動物に比べ、一度セットをしてしまうと手間はかかりませんが、発酵式の装置は二酸化炭素が発生する期間が1週間~3週間になります。
夏は1週間程度、冬は2~3週間とみておくと良いです。
二酸化炭素が出ない場合はもう一度作る必要があります。この作業が大変だと感じる場合は、後に作らなくなってしまうでしょう。
対策として初めから「小分け」をしておくと良いです。以下に作り方を記載していますが毎回計りにかけて作るのは面倒くさいです。そこで、100gの砂糖を袋やサランラップで何個も小分けしておくと作業がスムーズになり、面倒くさい心を和らげてくれます。
発酵式CO2添加の重曹式
発酵式には重曹式があります。
発酵させる砂糖水に重曹を混ぜると、発酵の進むスピードが遅くなります。これはイースト菌の発酵速度を低下させるためです。
また、重曹の他にも『塩』を投入することで同じ効果を見込めます。発酵速度が弱まるとその分長持ちします。冬は寒くて発酵速度が元々弱いため重曹や塩の投入はしなくて良いです。
発酵式CO2添加の寒天式・ゼリー式
この他にも、寒天を使い砂糖を固める寒天式の方法やゼリー式と呼ばれるゼラチンにより固める方法があります。重曹式よりも反応速度が遅くなるようです。
夏はイースト菌の反応が良くなるので、重曹式で思うような効果が出ない場合はゼリー式を試してみるのも良いでしょう。ゼリー式は、反応が進むとゼリー自体が無くなるため、交換時期の目安にすることも出来ます。
発酵式CO2強制添加装置の作り方
「材料」
- 炭酸飲料のペットボトル
- 砂糖 100g
- イースト菌 1g
- 塩 2g(冬は必要なし)
- 水 400ml
- ジョイント(つなぎ)
- エアチューブ
- エアーストーン
- 逆流防止弁
- シェイカー
- ボンド
- 保温カバー
- キリ
イースト菌が発酵をすると二酸化炭素が溜まります。
その圧力に耐える容器が必要です。炭酸飲料用なら耐えられる構造になっているため安全です。
コーラでもCCレモンでも炭酸水でも良いので、炭酸飲料専用を選んでください。中身を飲んで空っぽにしましょう。
つなぎジョイントです。
ホームセンターやアクアショップに置いています。最大限まで初期投資を抑えたい場合は、固めの口が細いストローが自宅においてあると代用が出来ます。
今回の主役です。
スーパーの食品コーナーに置いています。
あったら便利なものです。
100円ショップのシェイカーです。砂糖をペットボトルに入れるのですが、固形状の砂糖は小さい口に入れるのが大変です。シェイカーで予め液状にすることで安易に投入が出来ます。
逆流防止弁です。
無くてもたぶん大丈夫だと思いますが、何かの拍子で水槽内の水が逆流してペットボトルの中に入りだす恐れがあります。
そして、ペットボトルの中にある発行済のアルコールが水槽内に入る可能性があります。それを未然に防ぐ意味合いもあります。逆流防止弁を付けない場合はペットボトルを可能な限り水槽よりも高い位置に置いておくと良いです。
100円ほどのエアストーンでも良いのですが、二酸化炭素は水槽から逃げやすい性質があるため、出来る限り長く水槽内に留めておくことが重要です。
そこで泡自体を小さくします。
SUDOOのバブルメイトは細かに泡が発生するので見た目にも綺麗です。
別の方法もあります。割り箸の先端を切って、エアチューブに取り付ける方法です。同様に細かな泡が出ます。
100円ショップにあるペットボトル用のボンドです。
専用のものではなくても、一般的なボンドなら使えます。
100円ショップにある保温カバーです。
特に寒い冬はイースト菌の発酵速度が弱まるので保温をして促します。
発酵式CO2強制添加装置の作り方の順序・手順
空の炭酸飲料専用のペットボトルを用意します。
ペットボトルの蓋を取り、キリなどで中央に穴を開けます。
コンロやライターの火でキリの先端部分を加熱すると簡単に穴が空きます。この時に出来たプラスティックの破片はニッパーなどで全て綺麗に取り除きます。
つなぎジョイントを開けた穴に入れ、周囲をボンドで山盛りに固定します。勿論、表・裏にボンドを付けてつなぎジョイントを固定しましょう。
目的は空気が漏れないようにすることです。
つなぎジョイントの空気が通る穴にボンドが入らないように注意をしてください。
シェイカーの中に、「砂糖100g」・「イースト菌1g」・「重曹(塩)2g」・「水400ml」を全て入れます。
そしてよく混ざるようにシェークしましょう。
後は、シェークした砂糖イースト菌水をペットボトルにいれて、エアチューブを画像のように取り付けるだけです。
逆流防止弁を取り付けないバージョンになります。
逆流防止弁を取り付ける場合は、ペットボトルのキャップから3cm~5cm程先をハサミでカットして、向きに気を付けながら、間に付けましょう。
ビックリする程分かりづらい画像ですが、しっかりと発酵が進みCO2が吹き出しています。
発酵が開始するまで夏場は30分程度、冬場は数時間かかります。
CO2が出ない場合はペットボトルを少し振ってみましょう。
ちなみに、材料で紹介したエアストーンではありません。実験水槽のため、別のタイプを使用しています。
逆流防止弁とエアストーンを取り付けた画像がこちらです。
こちらは本水槽で使用中。
また、バブルカウンターも自作で作ることが出来ます。
バブルカウンターは1秒に1滴・2滴・3滴というように、CO2の排出量を目視で確認できる装置です。発酵式は調整をすべて自然現象に任せるため、重曹や塩などの量を把握しやすいので、あると便利だと思います。
また、エアストーンの代わりに割り箸を使う場合は、エアチューブと隙間が出来るため、ゴムで固定すると良いです。ただ、割り箸なので2日~3日目ぐらいから割り箸を覆うように水カビが発生する可能性があります。水カビが生体に感染をすると大変なので、少し様子を見ながら試した方が良さそうです。
ボンベ式のCO2添加は高価ですが、発酵式CO2の添加装置は手間がいるものの安価で作ることが出来ます。
まずは発酵式から初めてアクアリウムに慣れてきたら、ボンベ式にグレードアップしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
イースト菌は、寒すぎると発酵が進みませんが、60度以上になると死んでしまうので注意が必要です。また、ペットボトルを温める時は熱湯ではなく、30度ぐらいのぬるま湯を使ったほうが良いです。