手軽にはじめることができるBlenderですが、パソコンに取り込まなければ使うことができません。
3DCGを制作するために、まずはBlender制作ができるパソコンのスペックを見ていきましょう。2Dソフトに比べて3D空間を再現するため、目的によってはハイスペックが必要になる場合もあります。
Blenderを動かせるスペック
自分の思い描くものや、キャラクターをモデリング(作る)するには、Blender側が開発を続けているソフトウェアをダウンロードする必要があります。
その前に必要なことが、Blenderを動かせるパソコンを持ってるのか?ということ。
3DCGは一般的に「グラフィックのパワーを必要にする」ソフトが多いです。そのため、例えばインテル「i」シリーズやグラフィックボードの性能が良いものを搭載していると安心で、スムーズに作業を行うことが可能になります。
最低は欲しいスペック
- OS:64bit
- CPU:4コア 2GHz以上
- メモリ:8GB
- ディスプレイ:1980×1080
- グラフィックボード:1GB以上(OpenGL 2.1以上対応)
ノートパソコンに搭載されている「atom」でも動作はしますが、軽い制作しかできないと考えておいたほうが良いでしょう。メーカー製PCだと十分なグラフィックボードが載っていない場合が多いので注意が必要です。
尚、Blenderが提唱する最低スペックは以下になります。
- CPU:2コア32ビット2GHzCPU
- メモリ:4GB
- ディスプレイ:1280×768
- グラフィックボード:1GB
32bitでも動作は可能ですがOSの使用上、メモリの使用が4GBまでに制限をされてしまうため、64bitの方が3DCG制作では圧倒的に有利になります。可能ならば64bitがお勧めです。
また、CGでは多くのメモリを消費するため、多く積んでいるほどストレスフリーで作業をすることができます。8GBは欲しいところ。
推奨スペック、このくらいほしいパソコン性能
- OS:64bit
- CPU:4コア以上
- メモリ:16GB
- ディスプレイ:1920×1080 ✕1枚
- グラフィックボード:2GB以上(OpenGL 3.2以上対応)
パソコンにこのくらいのスペックがあれば、「初心者~中・上」共に、快適に動かすことができます。バランスの良い組み合わせになります。
Blenderを極めたいスペック
- OS:64bit
- CPU:8コア以上(Core i9を選べば安心)
- メモリ:32GB以上
- ディスプレイ:3840×2160 ✕2枚
- グラフィックボード:12GB、GPUメモリ搭載クラス
「映画」・「アニメ」など、主に動画をプロ並みで本格的に制作をしたい人にお勧めのスペックになります。ガラスなどの計算処理が難しいCG再現でも、リアリティーを高めながらスムーズに作業を行うことができます。
CPU・メモリ・グラボが重要なCG制作
Blender2.8以降では、「cycleレンダー」と「EEVEEレンダー」を使い、主に画像・動画へ出力していきます。
レンダーとは「レンダリング」の略語で、CGで作ったものを最終的に書き出す機能のことを指します。
cycleレンダーは、CPUの代わりにグラフィックボードを使うことで、CPUよりも性能が高ければレンダリングの速度を上げることができます。どちらのレンダー機能を使用するかによっても、パソコンの性能で大きな差が出ます。
Blender2.8から「EEVEEレンダー」が搭載されました。
これは簡単に言えば、「速い」・「綺麗」を売りにしているレンダーです。cycleレンダーに比べて圧倒的に素早いレンダリングが可能になりますが、cycleレンダーよりもクオリティーは落ちます。
画像はcycleレンダーを使い、動画はEEVEEレンダーを使うなどして、どちらのレンダーの特性を活かしながら切り替える使い方もありですね。
インテルのCPU
CPUは「i5」・「i7」搭載のパソコンなら安心でしょう。最新版インテルのi3は性能があがっているので、昔のi5並みになっていますが、CG制作ではパソコンのパワーが高ければ有利になるため、最新版のi5以上を積んでいるパソコンを選びたいところです。
でも、無理に買い揃える必要はありません。
CPU世代「Coffee Lake-S」以上なら簡単なCGモデルなら十分作れます。ただし、「パソコン性能が落ちる = 計算速度が遅くなる」を覚えておきましょう。また、メモリやグラフィックボードの性能も関係性を持ちます。
Core i7の第14世代を選んでおけば安心でしょう。
メモリは16GB欲しいところ。4GBでも大丈夫ですが、32bitOSを使用してる場合にはメモリ不足が多発する可能性が高いです。
8GB、可能ならば16GB以上は入れておきたいですね。
AMDのCPU
最近のAMDは、「省電力」と「高処理能力」がインテルを超えているものがあります。以前はコア数をたくさん積んでいたため、処理自体は早かったのですが、電力の消費が多すぎるのが欠点でした。
最近ではそれが大きく改善しています。
例えば、CPUの「Ryzen 5 3600」では、 TDPが「65 W」で、同時期に発売されたi5あたりの一般的なインテルCPUとそこまで変わりません。しかし、コア数が「6コア」・スレッド数が「12」もあります。
例えばこれは、2019年8月のインテルの「i7中版」に勝つほどです。もちろん、インテルも対抗してますます競争が激しくなっているため、特に自作PCで組む場合には、その動向をよく見ておく必要があります。
ちなみに、「Ryzen 5 3600」はグラフィック機能が内蔵されていないCPUなので、別除、グラフィックボードが必要です。
MACのCPU「Mシリーズ」
デザインで人気を集めるMACのパソコンは、「M」シリーズの登場で劇的なハイスペックパソコンに性能アップしました。
「M1チップ搭載・メモリ8GB・グラフィック内蔵」
初期型のスタンダードモデルですが、Blenderのモデリングも問題なく行うことができます。精細なモデリング(制作)をしなければ、M1チップでも楽しむことができます。
ただし、2018年にApple、macOS/iOSで「OpenGL/CL」の利用を非推奨にしているため、今後の動向には少し注意が必要です。(Blenderで対応してくるかもしれませんが…)
心配ならWindowsで組み立てておくと安心かもしれません。
このように、グラボだけが突出して性能が良くても思うようにCG制作は進みません。CPUやメモリも同時に重要です。「CPU」・「メモリ」・「グラボ」のバランスが大切になります。