世の中には不思議な現象が起きています。目の前で起きているその信じられない光景、もしかすると幻想や空想ではなく「現実」なのかもしれません。
人がお酒を飲むと、どのようになりますか?
「あっか~ん…、飲み過ぎてもーたわ~…」
このようになります。真っすぐに歩くことができないほどにフラフラと平衡感覚が麻痺してしまうのです。お酒に翻弄されるほど飲まれてはいけません。
でも、世の中には不思議な体質を持つ人が存在します。その人は、なんとお酒を1滴も飲んでいないのに「デロン♪デロン♪べろん♪べろん♪」になってしまうのです。
お酒を1滴も飲まないのに酔うミステリー
それはアメリカのオハイオ州で起きました。そこに住んでいたのはニック。後に彼は飲酒運転で逮捕されることになります。
さかのぼること1年前の話。
カレン
(ニックの様子がおかしい…。)
そう気が付いたのは妻のカレンでした。普段はよく食べるニックですが、このときはなぜか食べない。普段と違う旦那の行動を心配し、ニックは答えます。
ニック
「食べ過ぎたかな?なんだか気分が悪くて…」
彼はお酒を全く飲まないわけではありません。でも、それほどお酒を飲んだ記憶はありませんでした。ところが、二日酔いの症状がずっと続いていたのです。
二日酔いを経験している人ならわかるかもしれません。この世の終わりが近づいたというほどに気持ちが悪くなります。近くでシンバルなんて鳴らされたら悲劇。トライアングルでも木琴でもいい。音が頭の中に攻撃を仕掛けてきます。気持ち悪さと頭のズキズキの痛さがたまらない…。
ニックは苦しんでいました。ひどい日には朝に起きてから夜の寝る寸前まで吐いていた日もあります。身体の中に吐くものがなくても、吐き気は永遠に止まりません。
カレンは横で苦しんでいる旦那ニックを助けるために動き出します。
カレン
「原因を私が突き止める!」
なんと頼れる奥さんではないでしょうか。彼女は必死になって原因の特定を急ぎました。人が苦しんでいるときに向かう先は「病院」。そこへ向かうカレン。
医師
「うん、これはね、アルコール依存症だね。うん。お大事に」
そうじゃない…。
依存症になるほどお酒を飲んでいない…。
飲んでいない…。
でも、ひょっとしたらニックがカレンに隠れてお酒を飲んでいる可能性があるのかも?心配するカレンに気が引けながらもお酒を飲む。辞められない。それがアルコール依存症の恐怖です。
しかしカレンは知っていました。ニックは隠れてお酒を飲んでいないことを。やっぱりアルコール依存症とは考えられません。
ニックが飲酒運転で逮捕される
ある日のこと。車を運転していたニックは事故を起こしました。ただ、事故の原因はニックではありません。後ろの車がニックの車に衝突したのです。
ニックは急ブレーキをしたわけでもありません。まったく落ち度はありませんでした。でもなぜかニックが逮捕されてしまったのです。
ニック
「why?」
わけわかめ。
なぜに被害者が逮捕されなければいけないの?理由を聞くと警察の言い分は意外なものでした。
米警察 「あんたお酒飲んでるやろ。あかんやん。飲んだら乗るな!鉄則やで。アウトや君、アウト!」
ニック
「わけがわからないよ…。なんで関西弁なんだよ…」
米警察は優秀です。悪い奴らを逃がしません。警察は瞬時に嗅ぎ取っていました。
ニックからお酒の匂いがしていることを。警察はすぐに検査を実施。気になるのはその結果。検査の結果はなんと、法廷許容を超えるアルコール量の3倍に達していました。
ニックがパニックになるのは当然です。ニックはお酒を1滴も飲んでいなかったのだから。
謎の病気が判明する
カレンはニックを監視することにしました。休日に1日中に渡り夫を見る。お酒を1滴も飲んでいないことをこの目で確認するのが目的です。
仮に飲んでいないのにアルコール酔いに似た症状が出てくると、これは何かの病気、あるいは呪いしか考えられません。カレンはニックをガン見していました。
そのときです。
突然ニックは酔い始めました。わけわかめ。お酒を飲んでいないことは確認しています。でも突然酔い始めたのです。彼の身体でいったい何が起きたの?
具合が悪くなったニックをカレンはすかさず動画で撮影。翌日にニックに見せました。
ニック
「なんじゃこりゃー!覚えていない…。これは…、本当に俺なのか?」
どうやら自覚症状はなかったようです。カレンは動画を医師に見せました。
医師
「うん。これはあなたが見抜けていないだけ。隠れて飲んでるよ。やられちゃったね~」
カレンは困り果てました。症状の原因も治療法も見つからない。夫に対してどうすることもできない無力感だけが襲う…。
どうしたらいいの…。解決策が見えないまま二人にストレスが襲いかかります。原因もわからない。症状も改善しない。イライラがつのり喧嘩ばかりしていました。
原因を特定するカレン
喧嘩をしても旦那を助けたいという気持ちは変わりません。引き続き彼女は原因を特定するために調べていました。
そんなとき、ある医療サイトを読んでいると彼女の目にある記事が止まりました。
カレン
「これだわ!これしかないわ!むしろこれよ!」
カレンは恐らくこれであろう原因に目星を付けます。そしてすぐに動きました。やったのは「人体実験」。カレンは夫で実験をしてみました。
カレン
「このパスタを食べてみて」
なんの変哲もないパスタ。何もかかっていないパスタをニックに食べさせます。ニックはパスタを食べてしまいました。
すると数十分後…。
ニック
「カ…、カレン…、どうして、…気分が悪い…、助けて…」
ニックの様子が突然変わりました。カレンは苦しみだすニックを不気味な笑顔を浮かべながら見つめています。彼女は夫で人体実験をしたのですが、これは疑いを確証に変えるための実験。
カレン
「ニック、お酒臭いわ。超お酒臭い」
ニックは意味がわかりません。でも、衝撃的な事実を耳にすることになります。
カレン
「あなたは身体の中でお酒を造っているのよ」
ついにカレンはいかれてしまった。吐き気に苦しむ中でニックはそう思ったのかもしれません。でも、よく話を聞くと意外な事実が浮かび上がってきました。
ニックの病気は自動醸造症候群
ニックを長い間、苦しめたアルコール依存症に似た症状は、やはり病気でした。
ニックを襲った病気は「自動醸造症候群」と呼ばれるもの。
自動醸造症候群とは、自分の体内でアルコールを生成してしまう病気で、体内に通常の人よりも多くの酵母菌があることが原因とされています。大量の酵母菌が炭水化物を摂取することで、糖分が酵母により発酵される。その結果、アルコールを醸造。
まさか炭水化物を発端にしてアルコール中毒に陥るとは…。
炭水化物の食べ物は多くあります。パン・ご飯・麺すべて炭水化物。医師は語ります。
医師
「酵母の数値は異常だった。正常な人の4倍もある。うん。」
現在のニックの生活は?
現在のニックが気になるところ。
医師の診察により、炭水化物を減らす食事に切り替えているそう。そして症状が良い状態が続いています。食生活に至っては、赤身の肉と野菜を中心にしています。彼はカレンがいなければ今の自分の生活はなかったと振り返ります。
カレンはまさにニックにとっての「女神」でした。
※ 尚、記事【「」】の部分はご本人達の言葉をそのまま記載しているわけでないのであしからず。
まとめ
カレンの諦めない気持ちが、長年苦しんでいる夫のニックを救うことになりました。ニックは自分が持つ稀な病気の正体を知ることができ、以前よりも元気に生活を送れるようになっています。
また、彼だけではありません。アメリカのテキサス州住む61歳の男性も同じ症状を発症しています。この病気は過去30年で確認された患者は数えるほどしかいないと言われています。