富士フィルムから「X-T4」が発売されています。富士フィルムの期待の星ともいうべき力の入った機種です。
発表前から大注目されていた「X-T4」。
ほどよく小さなボディーに最先端の高機能技術を詰め込んだこの機種は、所有する喜びを感じることができるでしょう。
X-T4すごいカメラみたいパラ!
静止画と動画の両方で、性能バランスがいいカメラになっているんだ
X-T4のスペック
商品名 FUJIFILM X-T4
有効画素数 約2610万画素
撮像素子 APS-Cサイズ) X-Trans CMOS 4センサー
センサークリーニング 圧電素子による超音波方式
レンズマウント FUJIFILM Xマウント
露出補正 -5.0EV~+5.0EV 1/3EVステップ(動画撮影時は-2.0EV~+2.0EV)
手ブレ補正 補正機構 センサーシフト方式5軸補正
補正段数 最大6.5段(CIPA規格準拠、ピッチ/ヨー方向)
電子防振 あり(動画のみ)
ブレ防止モードブースト あり(動画のみ)
連写 約30コマ/秒(電子シャッター設定時、1.25 X クロップ)[連続記録枚数] JPEG: 60枚 ロスレス圧縮/圧縮RAW: 35枚 非圧縮RAW: 33枚
低輝度性能 コントラスト:-3.0EV(XF35mmF1.4装着時) 位相差:-6.0EV(XF35mmF1.4装着時)
ホワイトバランス オート(ホワイト優先/AUTO/雰囲気優先)
ファインダー 0.5型有機ELファインダー 約369万ドット(視野率約100%)
液晶モニター 3.0型 3:2アスペクト バリアングル式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター 約162万ドット
動画 記録方式 ファイル記録形式: MOV、MP4
圧縮方式: MPEG-4 AVC/H.264、HEVC/H.265準拠
電源 充電式バッテリーNP-W235(リチウムイオンタイプ)
静止画撮影可能枚数 約600枚(エコノミーモード時)、約500枚(ノーマルモード時) ※ XF35mmF1.4 R使用時
実撮影電池寿命
※顔検出OFF時 [4K] 約85分(29.97p時)
[Full HD] 約95分(59.94p時)
本体外形寸法 [幅]134.6mm×[高さ]92.8mm×[奥行き]63.8mm(最薄部37.9mm)
質量 約607g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)/約526g(バッテリー、 SDメモリーカード含まず)
ボディカラーはシルバーとブラックを用意。
発売はボディ単体と、「XF16-80mmF4 R OIS WR」をセットにしたレンズキットの2種類になります。
X-T3と同じイメージセンサーと画像処理エンジン
X-T4は、前機種であるX-T3と同じセンサーを使用しています。
有効約2610万画素の裏面照射型「X-Trans CMOS 4」イメージセンサーと高速画像処理エンジン「X-Processor 4」の搭載です。ちなみにX-T30の機種でも使われています。
X-T3が登場して約1年半、2年も経たないうちに新機種のX-T4が登場しました。サイクル的に早いほうですが、センサーはなぜ据え置き?
繰り返しますが、X-T4のイメージセンサーは「X-Trans CMOS 4」で、高速画像処理エンジン「X-Processor 4」です。X-T4・X-Trans CMOS 4・X-Processor 4で、「4」が揃っているので、スッキリしてしまいます。
同じセンサーと画像処理エンジンなのにX-T3よりも高速なんです。
X-T4ではAFアルゴリズムを一新することで、トラッキング性能がX-T3の約2倍に向上しました。ライブビュー/連写時の顔検出性能も2倍に向上。連写時の瞳AFの追従性も大幅に向上!
ソフトを改善するだけで動きのある被写体に強くなったのです。
強くすることができたのです。
X-T3は持っていませんが、同じセンサーを搭載したX-T30は所有しているのでわかります。AFはとても速いです。ソニーに迫る勢いです。ターゲットの被写体にAFをセットすると面白いほどによく追尾します。
この追尾力は感動ものです。
でも、たまに外れるときがあるんですよね。コントラストに差がなさすぎる場面で、シャッターを押す瞬間に背景にAFがいってしまってピンボケ…。
そこがかわいく愛くるしいX-T30。
これでX-T4を使ったらどうなるんでしょう?ただでさえシャキシャキとAFを合わせる「X-Trans CMOS 4」・「X-Processor 4」。
それが2倍の性能アップですよ?
ターゲットを見つけたらすぐにカメラを構えてパシャリ。突然でてきた被写体に思わずカメラを構えてパシャリ。
世界最速の約15コマ/秒の超高速ポストビュー連写、 ブラックウトタイムを75msecにまで抑えた約8コマ/秒のライブビュー連写とレリーズタイムラグ0.035秒の高い応答性を実現したX-T4。
X-T3よりも高いAF機能により撮影で失敗する回数が大幅に減ってしまいます。
最大6.5段のボディ内手ブレ補正機能を搭載
「X-T4」は、ボディ内手ブレ補正機能をX-Tシリーズで初めて搭載しました。
世論の流れは「カメラ内部に手振れ補正つけてほしい」。
他のメーカーも続々と手ぶれ補正をつけていて、尚且つ売れているので富士フィルムも「手ぶれ補正はいらない派」から「いる派」に移行したのでしょう。小型で軽量な手ぶれ補正の開発に成功したので搭載したこともありますが。
手ぶれ補正は「FUJIFILM X-H1」に初搭載されていますが、そこからさらに改良を加え一新。磁石になったことで更なる小型化・軽量化を実現しました。
その性能は「FUJIFILM X-H1」の8倍!
ボディ内手ブレ補正機能の8倍のブレ検出精度を持つジャイロセンサーと、シャッター時の微振動を効果的に抑制する衝撃吸収機構などを新たに採用することで、5軸・最大6.5段の手ブレ補正効果を発揮します。
大容量バッテリーの搭載
富士フィルムは電池の持ちが悪いことで有名です。
確かにX-T30の写真撮影は良いですが、動画を撮影すると電池に穴が空いてるの?といわんばかりに見る見るうちに電池容量が減っていきます。
X-T4ではその電池問題を大改善。
大容量のバッテリーに変わりました。
新開発の大容量バッテリー「NP-W235」を採用し、ノーマルモードで約500枚、エコノミーモードで約600枚の連続撮影が可能。別売の縦位置バッテリーグリップ「VG-XT4」を使用し、「NP-W235」を2個装填した場合には、最大約1700枚の連続撮影を行うことが可能になります。
電池の減りが早かった従来。それゆえにたくさんのバッテリーを持ち歩いている人も多いと思います。3個とか5個とか。動画を撮影していた人はたくさんいりますね。
X-T4に変えると撮影状況によりますが、電池2個あれば十分。
2倍弱に容量が増えたのでユーザーによっては1個で十分な人もいるでしょう。縦位置バッテリーグリップを使えば若干重くなるものの、電池の不安は一気に解消します。動画撮影もなんのその!
チルト式からバリアングル液晶へ
X-T3の液晶画面はチルト式でした。
スチールカメラ派にとってチルト式は使い勝手が高いです。
それもそのはず。
レンズの先から液晶画面まで角度を変えても一軸がズレません。一直線上にカメラを持つことができるため、撮影時にカメラを構いやすくブレなども防ぐことができます。
一方のXーT4はバリアングル液晶に変更。
液晶画面の角度を変えるにはカメラの横に飛び出した形にしなければいけません。バリアングルタイプのカメラを使ってみるとすぐにわかるのですが、カメラの横を見ながら撮影するのは構えにくいと感じるはずです。軸がズレてしまうため、スチール派にとってはマイナスポイントでしょう。
「液晶が割れないか心配になることがありませんか?」
バリアングルは、画面を反対にして閉じることで液晶画面を保護することもできます。こんな感じに。
カメラバッグに無造作に入れて持ち運ぶとき、特に山登りなど過酷な環境で持ち運ぶときに、「液晶が破損しないか?」などの心身的不安が解消されるため、安心して持ち運ぶことができます。
また、バリアングルで液晶を隠していると、ファインダーだけを覗いて集中をしながら撮影ができてしまいます。
スチールと動画の切り替えレバー
X-T3から変更され、X-T4は「静止画/動画切換ダイヤル」を新たに搭載しました。
動画専用操作モード使用時は、動画撮影の設定を記憶することができるため、静止画撮影から動画撮影への移行も速やかに行うことができます。
X-T30を使っていて思っていたのですが、静止画と動画の撮影変更がとってもめんどくさい。他のメーカーでは動画ボタンを押せば動画が開始されますが、X-T30ではダイヤルを変える必要があります。そのダイヤルを変えるだけならまだしも、動画に変更するまでに、その間に何個も別のコマンドがあるため、地味に手間がかかってしまうのです。
一方のX-T4は、ダイヤルを1個切り替えるだけで、「写真から動画」、「動画から写真」に切り替えることができます。他のメーカーは赤色のボタン式が多いのですが、富士フィルムのTシリーズはダイヤル式になります。
X-T30では動画の設定モードがメニューからしかできませんでした。ここにもX-T30の「簡単には動画を撮らせないぞ!」的なものを感じました。
でも、X-T4では静止画の設定と動画の設定が完全に分離。
「Q」ボタンを押すとそれぞれの項目が登場します。写真を撮りたいときにはスチールで素早く写真が撮れ、動画を撮りたいときには「MOVIE」に素早く切り替えて設定変更をしながら撮影することができます。
X-T4がかっこよすぎる 開封の儀
「ドーン!」
X-T30も手元にありますが、この機種も十分かっこいいです。
レトロ感があるのに最新の機械っぽくて、所有する喜びをくすぐる、そんなカメラ。シャッターを切ってそこから出てくる絵も独特な世界感を持っていて、ものすごくいいんです。
X-T30にはまってしまい、富士フィルムのファンになり、そしてX-T4を新しく買いました。デジタルで「写ルンです」を再現できるの最高ですね。
「箱がすでにイケメン!」
何と言いますか、パッと見ると、機種名だけですべてを語る。他には何もいらぬ的な箱の中に彼はいます。
「パカッ!」
箱の蓋を開けると説明書などが入っています。箱を開けた瞬間に、漂ってくる新品の香りにつつまれます。
「これがX-T4の匂いか~」
ジャジャジャジャーン!
彼は袋の中にいました。丁寧に包まれています。さすが富士フィルムさん。仕事が丁寧です。運送中でもカメラが動くことはなく、ガッシリと固定されています。
箱から脱出!
袋に入っているのに、すでに醸し出すこのイケメン臭…。
この時に初めてX-T4を手にしましたが、最初に感じたこと。
「軽!」
電池・カードなしで500gちょっとあった記憶があります。500gってこんなに軽かった?って思うほど軽いと感じました。体感で498gくらいの重さです。
付属品も出しちゃえ!
全員が袋攻めにあっています。どのメーカーさんもそうですが、富士フィルムも例外ではなく、付属品もちゃんと袋に入れています。
箱詰めをした工場の人・検品した人良いですね!
綺麗に並べられて箱の中に納まっています。ここでめちゃくちゃに詰められていたら、製品に不具合がなくても何だか残念な気持ちになります。
工場のスタッフさんに感謝感謝!
3.5mmステレオミニジャック(ヘッドホン用)はX-T4についていないので、付属品のものを取り付けてからイヤホンをそれにつける形になります。音を拾いながら撮影する人はX-T3より少し不便になったかも?
ストラップはX-T30に比べて太く丈夫になっています。
重量が増えていること、そして望遠の重いレンズをつける人が多いのを想定してだと思います。X-T30のストラップより全然安心感があります。
「大容量の新バッテリー!」
おぉー!これがあの話題の新開発したバッテリーですか!黒光りしてかっこいい!電池までかっこいいとかズルいですよ富士フィルムさん。
手にした感じは…
「でか!重い!」
X-T30の電池サイズに慣れているせいか、ちょっと想像以上でした。でも長持ちすると考えると全然アリです。
この外観に惚れてしまう人が続出しているのもわかると思います。
「かっこよすぎる…」
レトロのくせにこのドヤ顔…。
「時代は一周回って昭和だ!」と言っているかのよう。
軍艦ダイヤルやばいですね。そしてこのバランスの取れたフォーム。X-T3よりもX-T4は外観が角ばったものになりましたが、そこがまた最高にイケメン!
バリアングルは左のコネクター使う人は、グルグル回すと干渉してしまうため、少し使いにくいかもしれません。ここには注意が必要です。
個人的にはチルトよりもバリアングルのほうが好きなのでX-T4のスタイルはアリです。
思ったより軽いなぁーという印象が、X-T4とのファーストタッチでした。ところが電池を入れてみると彼は豹変!結構、ずっしりしました。約100g増えただけで重さの感じ方がだいぶ変わりますね。
でも、グリップを持つとこれまた重さに変化がでます。
グリップが大きくしっかりとしているので、そこまで重いと感じることはなくなります。やっぱりカメラのグリップって大事ですね。カメラを安定させる以外にもいろいろとメリットがあります。
惜しい点 デメリット
全体的に素晴らしいカメラですが、外観で1つだけ気になった部分を見つけました。
左にあるISOを変更する軍艦ダイヤルの下に、シャッター、ハイスピードシャッター、HDRなどに変更するスイッチがありますが、ここは問題ありません。スムーズに変更することができます。
問題は反対側です。
反対側の軍艦ダイヤルにはシャッタースピードを変更する設定がありますが、その下には「スチール」と「ムービー」を切り替えるスイッチがあります。X-T4の目玉機能の1つですね。
「スチール → ムービー」 〇
切り替えには問題ありません。スムーズにできます。
でもこの逆は難しい。
「ムービー → スチール」 ×
シャッターボタン(電源スイッチ)が邪魔になって、ムービーからスチールに戻しづらいです。慣れていないのもあるかもしれませんが、人差し指でスムーズに戻すのが難しいので、顔からいったんカメラを離して切り替える必要があります。(指の長さで変わるかも?)
X-T4で動画撮影のレビュー
文字を書くより、X-T4で撮影した動画を見ていただけると早いかな?と思ったり。
撮影する用途によって、どのくらいが許容範囲に収まるのか、人それぞれなので参考程度に見ていただけると幸いです。
動画AFモードは、「エリア選択」にしています。
オートにするとカメラが自動でAF位置を決めるので、コンニャク現象が起きそうだなぁと思ったため。
オートで撮影していないのでわかりませんが…関係ない?また、顔瞳AFもOFFに設定しています。
どうでしょう?
X-T30を比較対象にしていますが、X-T4の手ぶれ補正機能は結構いい線をいってると思います。X-T30もロボットのASIMOみたいに忍び歩きにしたら、大きなブレが抑えられます。
最適な手ぶれ補正にする設定方法
そもそもの話、どうしても身体がガタガタと動くのでそれを抑えるための機能が手ぶれ補正です。
っということは、その振動をできる限り抑えたほうがカメラの負担も減り、結果的にブレの少ない映像を撮影することができます。
腰に神経を集中して上半身を可能な限り固定します。これで左右の揺れをある程度は防ぐことが可能になります。
後はジンバル歩き(忍び足)が好ましいですが、街中でこれをやると恥ずかしいので、不自然にならないように滑るようなイメージで普通に歩いていくと良いでしょう。
ちょっと歩き方には神経を使います。(※ちなみに、上のX-T4動画は検証なので、通常の歩き方で比較しています。)
また、回転のブレもあるので、できるだけ腕が上下に動かないように固定しましょう。両手でカメラを持っている場合、右手が上がると左手が下がり、カメラは回転のブレを生みだします。電子水準器の設定をONにすると、回転ブレが修正しやすくなります。
ちなみに首にストラップをかけて多少前方へカメラを引っ張ってやると、腕の位置が固定しやすくなります。
ブーストは固定用
- IBIS/OIS
センサーシフト式(IBIS)と光学式(OIS)のブレ補正を行います。OISを搭載していないレンズを使用している場合は、IBISでブレ補正を行います。 - IBIS/OIS + DIS
IBISとOISに加え、電子式(DIS)のブレ補正を行います。動画モード に応じて画角がクロップされます。超広角レンズを使わないと少し制限されて厳しいですね。XC15-45mmやXF10-24mmなら使いやすいです。 - OFF
ブレ補正を行いません。 - ブースト
ON 手持ちで構図を固定して撮影する場合に適しています。
OFF 手持ちで構図を変えながら撮影する場合に適しています。
ブーストは固定撮影の場合に威力を発揮する機能です。
移動中は映像が基本的に上下左右に動いてしまうので、移動撮影で使うとブーストが変に効きすぎてしまい、「カクッ!」とした映像になるのだと思います。ブーストを入れて撮影した歩き方はカクカクしていますね。
移動撮影でまさかのバリアングルが邪魔に…?
これは使い方で大きく変わるのですが、首にストラップをかけて両手でカメラを持ちながら移動撮影する場合、バリアングルの上にストラップがかぶるようになるので、液晶が見にくいです。
ストラップをバリアングルの下を通すようにすると問題は解決しますが、意図しない何かの拍子でカメラを急に下げると、首はその状態を維持しようとしてるのに、手は下にいこうとするので、本体とバリアングルを繋げている回転部分に負担がかかることが予想できるため少し気になるところ。
また、移動をするときにモニターを見ながら移動しましたが、液晶がカメラの横についているため光軸がずれて撮りにくい印象を受けました。
X-T30はチルト式ですが、全然チルト式のほうが移動撮影はやりやすかったです。X-T30では快適に撮影できました。(バリアングルの方が個人的には好きなんですけどね。)
自撮り撮影の場合は、首からストラップをかけないと思うので問題はないでしょう。カメラが落下しないようにストラップを手にグルグル巻いておくと、カメラも安定して一石二鳥です。
移動はチルト式が有利だと感じましたが、左右や上下に移動する撮影ではバリアングルのほうが撮影しやすい印象です。
地面に近いところからの撮影や自分の身長よりも高い場所にある被写体を撮る場合には、バリアングルのほうが使いやすいでした。(チルト式でもできるんですけどね。)
まとめ
スチール撮影は、1秒程度なら止まります。それ以上は撮影する人のブレの影響度に左右されそうです。余談ですが、クラシックネガ最高ですね。クラシッククロームよりも好きになりそう。
固定しながらの撮影やパン・チルト撮影の安定度はすごいですよ。
X-T30と比べると雲泥の差があります。パン・チルトで撮影するときにはブーストをOFFに。固定撮影はONにしましょう。
手ぶれ補正は使用するレンズにも左右されるかもしれないので、最新のバージョンにあげておくと良いかもしれません。