昆布のダシは海の中で出ないの?

お味噌汁に入っている昆布。鍋料理のダシに使われる昆布。

日本料理で利用することが多い昆布ですが、もともと海の中に生息している植物です。

海の潮水にゆらゆらと揺られながら、まるで踊っているように見える昆布は海の中でダシが流失しないのでしょうか?

海の中で昆布のダシが出ない理由

海の海岸を歩いていると、浜辺に打ち上げられた昆布が干上がっていることもあります。台風や大雨などにより海の中が荒れて、一部がちぎれてしまったのでしょう。

海の中で生きている昆布ですが、水中でダシは出ていないのでしょうか?

実は、昆布の旨味成分はグルタミン酸ですが、水中にある昆布の近くの海水を抽出しても検出されることはありません。つまり、海中でダシは出ていないということになります。

なぜ、料理にするとダシが出てくるのでしょうか?

海の中で昆布が生きているからダシが出ない

海の中では美味しい旨味成分は昆布から出ていません。でも、料理に使うことで旨味成分のグルタミン酸が出てきます。

その違いは「昆布の生死」にあります。

海の中で昆布が生きているためダシが出ないのです。その反面、海からあげられた昆布は死んでいるのでダシがでます。

旨味成分であるグルタミン酸などのアミノ酸は細胞の中にあり、昆布が生命を維持させるためにとても大切な成長成分になります。昆布も生きていかなければいけないので、体内にこれらの栄養分を溜め込む性質があります。

ところが、昆布が死んでしまうことで細胞が崩壊。その隙間から旨味成分が出ていくことができます。これが美味しいダシの抽出に繋がる仕組みです。

まとめ

昆布が死ぬと細胞の間からダシが出てくる。

海の中で揺られている昆布、海水を舐めてみてもしょっぱいだけで、昆布のダシの味はしません。その理由は、昆布が大切な栄養素を逃がさないように、細胞でガードしながら生きているから。

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