アクアリウムの自然景観を一層引き立たせてくれるアイテムに流木があります。
「流木」とは、河川や海に流れ込んだ樹木が、河岸や海岸に流漂物として打ち上げられたものをさします。
買ってきた流木、拾ってきた流木がなかなか水の中に沈まないことが多いです。思うようにレイアウトができないため、なんとか沈めたいのですが、何か良い方法はあるのでしょうか?
水の上に浮かぶ流木
流木を水槽の中に沈めたいのにぜんぜん沈まない。
なぜ?
その答えは「木の中に空気が入っているため」です。この空気が浮き輪のかわりになるため水の上に浮いてしまうのです。
考えてみてください。
流木は陸上にある木が台風や土砂崩れなどの影響を受けて折れたり抜けたりすることで川に流れます。これらの木がすぐに水に沈んだらどうなるでしょう?
流れる木。
積み重なる木。
流れる木。
積み重なる木。
木と一緒に大量の土砂も流れてくるため、川が寸断されてしまいます。すると地形が変わります。急な地形の変更。そこにあったはずの陸が水没して今日から川になる。その川もいつまた陸になるのかわかりません。
これは生命を循環させている生態系が狂いやすく、地球にとっても嬉しくない話です。
木の中には空気があります。この「浮かぶ力」によって下流や海まで木を流すことができ、大量の木によってせき止められるリスクを下げることができます。
その流木は海に流れ、やがて水分が木の内部まで浸透することで沈みます。あとは微生物により分解され地球の一部になります。一部沈まずに岸に流れ着く流木もありますが、これも次第に腐れていきます。
沈まない流木を沈める方法
上記の理由から木はそもそも沈みにくいものです。
川から海にたどり着き遠くに離れるための2~3日は水の上に浮いている必要があります。
しかし、アクアリウムにとっては厄介。
水槽をより自然な雰囲気にしてくれる流木なだけに、沈まないことが厄介です。
「ルンルン気分で流木を山奥へ拾いに行き、タワシなどでゴシゴシ磨き、いざ水槽にいれようとしてもぷか~んと浮いてしまう…。しかも全く沈む気配すらない!」
逆にアクアリウム用として販売されている流木の場合は、水槽に入れた流木が長期間沈まないという確率は低いようです。
沈み難いのは自分で見つけた流木や、オークションでアクアリウムとして使っていなかったインテリア向けの流木などが多いです。
ただし、アクアリウムと記載があっても「沈まなかった」から、オークションに出品するケースもあるため見極めが必要です。
また、自分で採取してきた場合などは農薬などが付着している可能性もあるため下処理は入念に行う必要があります。
流木が沈まない理由は、流木に含まれる空気が原因なので、この空気をできるだけ早く取り除くことができれば流木は沈むことになります。
それではやり方を見ていきましょう。
水に浸け込み沈むのを待つ
流木を沈める最もスタンダードな方法です。
とにかく流木が沈むまでひたすら待ちます。
やり方は簡単。
流木が収まる容器に水を張り、重しを乗せて数日放置するだけ。アク抜きも同時に行えるメリットがあります。
裏技としてトイレの後ろにタンクがある場合には、蓋をあけてそこに固定しながら沈めておきましょう。流木についた汚れ・アクも一緒にトレイの後に流れるため効率が良いです。
デメリットは沈むまでの時間がとにかく長いこと。
流木の種類や大きさに左右されます。2日で沈むものもあれば1か月かかるもの、半年経っても沈まないものなど見極めが少し難しいです。
鍋でぐつぐつ流木を煮る
水につけても沈まないのなら鍋をつかって煮込みましょう。
もちろん食べません。沈めるために煮ます。なぜ流木を煮ると沈むのでしょうか?
その理由は、流木内の空気が膨張して水が冷えるときに抜けることで殆どの流木は沈むのです。収縮時により多くの水を吸収します。
流木から出る茶色いアクを抜く効果も高いため一石二鳥です。
デメリットもあります。
- 鍋を使うため流木が入る大きさでないといけないこと
- 家族がいる場合には確認しないといけないこと
- ガス代がかかること
鍋が使えない場合には、発砲スチロールの箱にお湯と流木をいれて蓋をしておきましょう。この他にも、浴槽にいれる手もあります。
ただし、鍋で煮ることで木の繊維が壊れてしまい木が痛む恐れがあるほか、いつまでたっても黄色いアクが出てしまう場合もあります。
魚には無害ですが、黄色いアクが気になる場合はブラックホールなどを入れると改善されます。
直接木にウエイト・重りを付ける
「全然沈まないじゃん!」っという場合には、強硬手段をとるのもひとつの方法です。
石などを釣り糸などで、流木の目立たない場所に縛って重石にします。レイアウト用の石で固定するとレイアウトに溶け込んで良いかもしれません。
すぐにセットをしたい人向きです。
採取した流木を使用する場合には、流水でしっかり洗ってから行いましょう。川・海の微生物が付着している可能性があります。
また、ブヨブヨして腐れた部分があるとそこに虫が潜んでいる恐れがあります。熱湯で消毒したら安心です。採取する場合にはできるだけ固い流木を探すようにしましょう。
穴を開ける
流木が沈まない原因は空気。
この空気が抜けると沈みます。
つまり、内部の空気が抜け易いように電動ドリルで流木に穴を開けると早く空気が抜けるため沈みます。
デメリットとして、流木に穴を開けると使える向きが限られてしまうことがあげられます。せっかく自然な景観を目指しているのに人工的にあけた穴があるとなんだか残念な気持ちになるかもしれません。
流木の目立たない場所に開けたり、ウィローモスやミクロソリウムで流木に空いた穴を上手く隠せば大丈夫。穴をあけるとエビの隠れ家に使うことも可能です。
流木とプラスチックをネジで固定する
これまでいろんな流木で試してきましたが、沈むものもあれば全く沈まないものもありました。
木が太いと、沈むまでに途方もない時間がかかります。
すぐにレイアウトを組み立てたい人におすすめなのが、流木と板状のプラスチックをネジで固定する方法です。
- プラスチックなどの板
- ソイルなどの低床または石
- 流木
プラスチックの板などを流木の底からネジ止めして、板部分を底砂で埋めます。それでも浮いてくる場合にはプラスチックが入っているところに低床の上から石などを乗せます。
ポイントは、プラスチックを大きめにカットしておくこと。流木の浮力に耐えるだけの重りが乗るスペースが必要です。
この方法なら99.9%沈めることが可能です。
その沈まない流木はいずれ浮力をなくして石をとっても安定するでしょう。
まとめ
水槽レイアウト用の流木は沈んでいたものでも、一旦乾燥させてしまうと浮くようになります。空気が再び流木に入り込むためです。沈めておきたい場合には、なるべく空気に触れないようにしましょう。