100万ドルの夜景はきれいで美しく、多くの人の目を奪っています。
日本だけではなく、香港の夜景も100万ドルの夜景と呼ばれています。
でも、香港の人たちは「100万ドルの夜景」という言葉を知らないといいます。
いったいなぜ?
そもそも、「100万ドルの夜景」とはどのような意味があるのでしょうか?
100万ドルの夜景と呼ぶ理由
100万ドルの夜景と聞くと、どの風景を思い浮かべますか?
函館山から見る函館の夜景を思い出す人も多いのではないでしょうか?芸能人も多く訪れる有名な名所になります。このほかにも、六甲山から見る神戸の夜景や稲佐山から見る長崎の夜景があります。
「100万ドルの夜景」という言葉。この言葉が誕生したのは日本になります。神戸の夜景が100万ドルの夜景と呼ばれるようになった由縁を見ていくとその答えが見つかります。
昭和20年代のこと。六甲山の山頂から神戸を見下ろしたときに見える夜景。山から街を見下ろしたときに見えるたくさんの光が輝いています。
この輝きは神戸の電灯の電気代に換算すると、1か月でおよそ100万ドル。
山から見たときの光は電気の数。ようするに電気代を意味します。「電気料金が100万ドルくらいする夜景」と呼ぶようになりました。当時、六甲山から見える神戸の電灯の数はおよそ496万個だといわれています。
ロマンティックのイメージが強い「100万ドルの夜景」ですが、中身の意味は「電気代」という何とも言えない現実…。
ただ、函館説もあります。函館に訪れた外国船舶の船員が美しさのあまりに「ワーオ!100万ドルの夜景・・・」と表現した言葉だとされています。神戸説か函館説か?現在は神戸説が有力とされています。
香港で100万ドルの夜景を現地人が知らない理由
日本以外にも「100万ドルの夜景」と呼ばれる場所があります。その1つが中国の香港。日本の外にも100万ドルの夜景があることになりますが、「100万ドルの夜景」と言われ始めたのは、日本の神戸からです。
香港の夜景が、なぜ「100万ドルの夜景」と呼ばれているのでしょうか?実は現地の人に「この夜景は100万ドルの価値がある」といっても「え?」と返されてしまいます。現地人は「100万ドルの夜景」と呼ばれていることを知らないのです。
それもそのはず。
「100万ドルの夜景」というのは日本国内で日本人が「電気代」として言い始めたことなので、中国の人が知らないのも当然といえば当然です。
誰が言い出したのかはいざ知らず、光の数が多いほど高度成長の証となりました。
まとめ
100万ドルの夜景は電気代。
日本人が言い出した「100万ドルの夜景」ですが、なぜ「円」ではなく「ドル」表記にしたのでしょうか?その理由は、神戸の電灯の電気代に換算すると、1か月でおよそ100万ドルだったから。
100万ドルを円に直すと、現在のレートからして約1億936万1,330円、およそ1億1千万円になります。ちなみに、100万ドルは当時のレートだと約3億2900万円ほど。
「1億円の夜景」
あるいは
「3億円の夜景」
どうでしょう?
1億円は大金です。でもなんだかゴージャス感が薄れたように感じませんか?
「100万ドルの夜景」
電気代からはじまった言葉ですが、日本人の間で広まった理由として、戦後の日本はアメリカにあこがれていました。最新ファッション、高層ビルなど日本人は世界最先端を突き進むアメリカを見ていたのです。
「100万ドルの夜景」は経済発展を果たした都市の証。当時、電気の数はインフラ設備が好調だという証明であり、「アメリカドル」だからこそ生まれた言葉、そして広まった言葉ともいえそうです。