浦島太郎に登場する鬼、こぶとりじいさんに登場する鬼、「鬼」は日本の昔話によく登場しますが、恐ろしい存在として位置づけられています。
その鬼ですが、実は日本各地に鬼のミイラと思われるものが残されています。
宮城県にある「鬼の頭」と「手のミイラ」が展示されてある博物館もその一つです。
宮城県に眠る鬼の顔ミイラ
宮城県には鬼の顔らしきものが資料館で保管されています。いったいこの正体は「鬼」なのでしょうか?
岐阜県の念興寺や、大分県の十宝山大乗院など、鬼のミイラと呼ばれるものは全国に複数存在しています。ミイラなどを保管している場所は寺や神社などが多いのですが、博物館・資料館に保管されている例はあまりありません。
宮城県に存在する「鬼」は「村田町歴史みらい館」で保管がされていますが、なぜこの場所にあるのでしょうか?
館内には旧石器時代からの歴史や郷土についての展示があります。一般的な資料館という感じ。しかし、その一角に「鬼」と書かれた箱が置かれています。
鬼が封印されているかのような雰囲気。その中には…
(出典:pbs.twimg.com)
鬼の顔が閉じ込められています。なぜか下のほうがすりガラスになっている…。
1994年に、村田村のある商家の蔵から鬼の頭と手のミイラが発見されました。その後、村田町歴史みらい館に寄贈されてこの場所に保管されています。
(出典:msp.c.yimg.jp)
「完全に鬼!」
ミイラと思われる鬼の顔にはギザギザとした牙が見えます。鬼の頭の大きさは縦35センチ、幅25センチほど。推測で2.5m~3mほどの身長でしょうか?
商家の蔵から見つかった時には他に何も記録が残っていなかったようです。ミイラについても何も知らないようです。なぜこのミイラが蔵で保管されたのか?
不明なまま。
渡辺綱の鬼退治伝説
この地は鬼退治で知られる渡辺綱の地元とされています。
ある日鬼が悪さをしていました。そんな鬼を退治して、切り落とした茨木童子の腕を綱が宮城へ持ち帰りました。すると、綱の伯母があらわれて、どうしても鬼の腕が見たいとせがむではありませんか。
「そのとき!鬼が本性を現した!」
鬼が親類の女性に化けて自分の腕を取り返しに来たのです。鬼は囲炉裏の自在鉤を伝って屋根の煙出しから逃げてしまった。という伝説が残されています。
渡辺綱の墓や子孫の家系も現存しているようです。未来館の近くにある「民話の里」には、石に鬼の手形がついた「鬼の手掛け石」も残されています。
綱が刀を抜いて逃げた鬼を追いかけると、鬼は小川を飛び越える際にコケそうになって石に手をついたそうな。そのときの跡がこの「手かけ石」。
村田町歴史みらい館の場所
- 住所 :宮城県柴田郡村田町大字村田字迫85
- 時間 :09:00〜17:00(入館16:30)
鬼の顔ミイラの正体とは
鬼のミイラの正体は一体なんなのでしょうか?
「本物?」
そもそも鬼は想像上の生き物とされています。実際に見た人はいません。
実はこの鬼のミイラは、粘土・和紙・動物の骨・皮を組み合わせて作られています。江戸時代末期から明治初期にかけて作られたようです。
江戸時代にこのようなものを作る職人がいて、それをお客さんに見せることで商売繁盛につなげていました。
寺や神社で保管されそうな代物が、博物館・資料館で保管されている。昔の人が恐怖の象徴として人工的に作った物だとしたら、たしかに資料館に保管されていてもおかしくありません。
未来館では、「江戸時代の職人が作った文化」としてそれを後世に伝えるために保管しているようです。
まとめ
鬼は恐怖の象徴として人の心に住み着いている。
悪いことをしたら鬼がやってきます。良い子にしておかなければいけません。