幼いころから慣れ親しんだピアノ。
小学校では学校の授業で心地よい音を鳴らします。
そして夜になるとこの学校にあるピアノは、ベートーベンが弾きだすのです。
この比較的身近にあるピアノという楽器ですが、ピアノを思い浮かべると「鍵盤」が出てくると思います。
ピアノといえば鍵盤です。
でも、その鍵盤の色は黒と白に分かれていますよね?
しかも、どのピアノも同じ。
カラフルにしたほうが弾くほうも楽しくなるかもしれません。逆にすべて白色にしたほうが、かっこいいクールな印象をつけることも可能かもしれません。
なぜ、ピアノの鍵盤は白と黒なのでしょうか?
ピアノの鍵盤が黒と白の理由
ピアノの鍵盤は白と黒ですが、なぜ「白と黒」にする必要があるのでしょうか?ピアノは手先が器用でなければ弾くことが難しい楽器。手先を動かすため、両極端の色をもってきたほうが見分けやすく弾きやすいから?
いえ、そうなると黒と白でなくても、「赤・青」でもよくなります。
実は、ピアノの鍵盤が白と黒なのは、「一目でどの音がどこにあるのかを判断するため」です。すべてが同じ色だと、半音高い位置の鍵盤が見えなくなります。
ピアノは14世紀頃に登場しましたが、「クラヴィコード」といい、白い板に黒檀が使われていました。現在のピアノと同じような色模様です。
つまり、考え方としては予想通りあっています。
貴族・セレブの意向で色が変化する
ピアノを使ったのはいいものの、年々使うといろが黄ばんでいくことに気づきました。白く清潔感のあった色は黄色くなることで汚れて見えてしまう…。
そこで象牙をつかうことになりました。現在世界的に問題になっている象牙の取引です。時代はバッハの頃。ピアノの白部分には象牙、黒部分には黒檀を使用していました。
しかし、象牙は象の命と引き換えになるもの。その値段は高く、量産することが難しいです。ピアノ1台に現在の価格で例えると数千万円ほどになる計算です。そのため、お金持ちにしか弾くことができない楽器になってしまいました。
黒白逆のピアノが誕生
お金持ちにしか弾けなくなってしまったピアノ。そこで考えました。安い黒檀を白の部分に使えば安くピアノが作れると。
ピアノの鍵盤は白の部分が多いので、反転させようと考えたのです。1800年代では現在とは反転した黒白ピアノが誕生します。そして広く使われるようになりました。
再び反転したピアノの色
今のピアノとは真逆の鍵盤色が主流になりましたが、現在ではその頃とは再び反転しています。
「白黒」から「黒白」に代わり、再び現在の「白黒」に戻っています。いったいなぜ?
実は、お金持ちたちの見栄により変更されたのです。お金持ちは「黒が多くて安っぽい」、「象牙のほうが私にふさわしい」、「白のほうがかったこいい」など、不満が爆発。
すると、お金持ちたちは我さきへと、白い象牙のピアノを買い占めるようになりました。その裏で象の命が奪われていきます。これは困ったことになりました。人間の娯楽のために殺されてしまう象。何とかしないといけない。
そこで、1900年代になると、白い樹脂を使ったアクリル鍵盤が誕生します。これは見た目は白い鍵盤ですが、木の上にアクリル樹脂を塗ったもの。
その後、1975年になると、ワシントン条約により象牙の国際取引が禁止になりました。象牙でピアノが作られることはなくなりました。
まとめ
ピアノの色には歴史がある。
ピアノは白黒で誕生しましたが、あまりに値段が高いピアノになるため黒白ピアノができました。でも、お金持ちが反発。その結果、白黒に戻りました。
ただ、象牙は使われず、樹脂に置き換わっています。