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X-H2SのF-log2で動画を綺麗に撮影する設定

X-H2Sで動画を撮影したい場合には、二通りの出力方法があります。

  • 「フィルムシミュレーション」
  • 「F-log」

フィルムシミュレーションは、写真撮影同様に色彩Lutがはじめからカメラにインプットされているので、そのまま撮って出しの映像を出力することができます。撮って出しでも非常にクリアで高精細な動画を出力してくれるので、パソコンなどで編集をする手間を省くことができます。

一方のF-logは、その幅広いダイナミックレンジが特徴です。

白い部分や黒い部分、いわゆる「白飛び」や「黒つぶれ」にとても強い動画を出力することができます。ただし、パソコンで編集をすることが前提になる設定ファイルです。

フィルムシミュレーションからF-logに移行

動画撮影において、以前はフィルムシミュレーションを使用していました。とても綺麗な映像が出る点、複数のフィルムシミュレーションを使い分けながら現場で撮影をする楽しみがある点が魅力だったからです。

しかし、現在はF-logに移行しています。

フィルムシミュレーションを使用して現場ではOKだと思った露出でも、パソコンに取り込むとなんだか暗い…

そのため明るさを再調整していました。

それなら、とりあえず現場では構図を重視してF-logで撮影、その後にパソコンでLutを当てて落ち着きながら調整をしたほうが、もっと綺麗で楽しく動画を作ることができると思ったからです。

ちなみに、富士公式では「エテルナ」と「ブリーチバイパス」と「ナチュラル」のLutが配布されています。またWeb上には、レトロでおしゃれなものや、ビビットをはじめ、クラシッククローム・クラシックネガ風のLutも配布されています。いろいろあるので探してみてください。

X-H2SのF-log2の設定

XF16-50mm f2.8-4.8 レビュー 標準ズームのベスト 3

使用の機器は「X-H2S」です。

エンジンやプロセッサーで、同じ富士フイルムカメラでも綺麗に撮れる設定は異なるので注意が必要です。

X-H2S」+「F-log2」の設定方法になります。

X-H2Sはその性能上、AFが他の富士カメラよりも頭がひとつ、ふたつ抜けています。処理能力が非常に高いため、これはスチール撮影のAFにも有利ですが、動画ではさらに有利になります。

ローリングシャッター歪みに強い、ダイナミックレンジの広さ

X-H2Sは、ローリングシャッターの歪みに強いです。

ソニーのα7S IIIに匹敵するレベルで、1200万画素と2600万画素を考えると、H2Sの凄さがわかると思います。

動画は写真を何枚もパラパラ漫画のように重ねたもの。

つまり、読み込み・記録の時間がかかると、一枚の画像がふにゃふにゃに歪んでしまうので、連番された動画ではこんにゃくのようにぐにゃぐにゃに歪んでしまうことがあります。高速で動くものにはとても弱くなるのです。

例えば野球のバッド。

例えばゴルフのクラブ。

例えば電車・新幹線。

本来なら縦軸に描かれていなければいけない1枚の絵が、処理能力が遅いことでぐにゃりと曲がってしまいます。

(ivedoor.blogimg.jp)

X-H2Sでは超高速処理能力のおかげて、同世代のH2やT5のように曲がることはありません。この点からも、H2Sは動画、H2/T5はスチールに比重を向けているのがわかります。

また、14+のダイナミックレンジを持つので、F-log2では逆光に強く、ふんわりとした映像も撮影することが可能です。

F-log2で綺麗に撮る

X-H2Sの4kは、6kからオーバーサンプリングされているのでそのまま4kを選んでも問題ありません。6Kか4Kかはお好みでどうぞ。

記録フォーマットは「H.265 ALL-I 422 720Mbps」。

ビットレートが高くなるほど、高精細で綺麗な画質が出力されます。ただし、容量を食います。H2SではProRes収録が出来ますが、SDHCカードでは収録できず、CFexpress Type B対応のカードは高価なうえ、ProRes自体のデータ量が半端ではないので、4k最高画質で保存すると、512GBあっても数十分しか持たないのでは?

ちなみに、iPhone14 Proで4K ProResビデオ撮影すると1分間で6GBになります。

尚、H.265 ALL-I 422 720MbpsでSDHC 256GBだと、50分弱は録画可能です。

デュアルネイティブISO 2つのベース感度

X-H2SのF-log2で動画を綺麗に撮影する設定

っで、一番伝えたいのはこれです。

X-H2Sにはふたつのベース感度があります。

α7S IIIで話題になったアレです。α7S IIIのlogでは、ISO640からはじまり徐々にノイズが上がっていきます。そしてISO12800になると突然、ノイズ量がISO640のときのように激減するのです。ISO12800でノイズなくなるのは、まさに「化け物機」。そこからノイズが上がっていき、許容できるギリギリのラインはISO25600までとなります。いかにα7S IIIの高感度能力が優れているのかわかると思います。

X-H2Sの高感度ベース

  • F-log 640 / 1600
  • F-log2 1250 / 3200

X-H2Sにも、ふたつのISOベース感度があります。

F-Log2に設定した状態で、レンズの蓋をつけたままモニターを見てください。撮影方式をマニュアル設定にして、ベース感度は1250が基準になります。そこからISOを上げていきましょう。ISO3200になった瞬間、ノイズが消えたことがわかると思います。

H2Sには、左肩にカスタムダイヤルが7つあります。

つまり、カメラの設定をそのままに、「ベース感度1250」と「第二のベース感度3200」を、例えばダイヤル「1」と「2」にそれぞれ登録しておきます。

あとは、可変式NDフィルターを装着しながら、太陽光の下ではISO1250で撮影し、木陰や曇りなどではISO3200で撮影します。

左肩のダイヤルをひとつ回転させるだけなので、通常のISO1250→3200まで段階的にISOを移動させる手間と時間が省けます。

露出に注意!

注意することがあります。

Log撮影では、ソニーも同じでしたが、露出は+に傾けて撮影してください。「適正」や「マイナス」ではすぐにノイズが出てしまう特性があります。これは富士フイルム機でも同じでした。

撮影時の目安として、露出は+1近辺が良いかと思います。

露出は、液晶モニターの左側に表示されています。

尚、ソニー7S3のときには「+1.7」で設定をしていました。不必要に露出を上げすぎた場合には、暗部の情報が残りません。後でコントラストを締めても回復出来ない事があるので要注意です。

また、夕方の撮影で、例えば空のグラデーションを優先する場合には、露出を0に合わせた方が良い場合もあります。これは、被写体がシルエット(影)になっても大丈夫な場合です。

要するに、ISO3200でしか撮らない!と考えて撮ってしまい露出不足になると、逆にノイズが目立つ動画が出来るということ。X-H2SならISO6400までならなんとか許容できる範囲だと思うので、ギリギリまでISOを上げながら調整をしましょう。

Log撮影では露出の目安が大変重要になります

まとめ

X-H2Sは動体のスチール撮影でも驚異的な性能を発揮します。

しかし、動画でも負けじと驚異的な性能を与えてくれます。しかも高画質な映像を記録してくれます。どうせ撮るなら、最も美しい状態で保存してみてはいかがでしょうか?

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