XF16-50mm f2.8-4.8、第五世代に対応した標準ズームレンズを購入しました。
外観は非常にシンプル。
レンズ先端から「フォーカスリング」→「ズームリング」→「絞りリング」の構成で、 絞り値の設定をオート・マニュアルを切り替えられる絞りモードスイッチが備わっています。
小型軽量でとても使いやすい、標準以上の標準域のレンズだと感じました。
XF16-50mm f2.8-4.8は、高機能を凝縮した新基準のレンズ
(XF16-50mm f2.8-4.8で撮影。隅までしっかりと解像しています)
フルサイズ換算「24-76mm」相当の画角をカバーする標準ズームレンズが富士フイルムから登場しました。
「XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」
富士レンズでは、「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」が標準レンズの中心にいました。2012年に発売されたので、かれこれもう12年前の製品になります。
後継機の新型では、従来レンズから望遠側が5mm短くなり、広角側で2mm広くなりました。
富士フイルムは4000万画素クラスのカメラを次々と投入しているため、これまでのレンズでは、対応しているものと未対応のものが混合している状態です。
本レンズの主な改良点は、4000万画素の高画素化へ対応したこと。
X-HシリーズやX-Tシリーズなど、第5世代のXシリーズのボディでもその性能を十分に堪能することができます。
軽量・小型で毎日持ち出したい気持ちにさせる
- 重さはわずか240g
- 最大径65mm x 全長71.4mm
- フィルターサイズはΦ58mm
240gです。
「軽い!」
レンズが重ければ、普段使いとして日常的に持ち出す人は少なくなると思います。最初は毎日持ち出すつもりで購入しても、結局はスマホだけしか使わなくなったり…。
レンズが軽いということは、カメラ本体も合わせて総重量を抑えることができるということ。APS-C機に求められている一番重要な「機能」です。
「手軽に綺麗に撮りたい!」
T二桁やEシリーズでは、特に軽く抑えられるので毎日持ち歩いても苦にならないでしょう。
X-Hシリーズに付けると、本体の大きさからレンズの主張がなくなり、バランスが良く見えます。H2の持ちやすいグリップと小型で軽いレンズの組み合わせは最高です。H2本体は重さがあるので、レンズの重量が軽いのはGood!
インナーズームで使いやすく、AFも爆速で過酷な環境もへっちゃら
一般的なズームレンズは、筒を回すと前の方へ伸びていきます。しかし、このレンズ「XF16-50mm f2.8-4.8」は、インナーズーム方式を採用しています。
ズーム操作時にレンズ全長の変化がまったくありません。
以前、「XF10-24mmF4 R OIS」でインナーズームを使用していたので、新しい感動はありませんでしたが、やっぱり便利。はじめてインナーズームを経験すると、その感動に包まれると思います。
全長が変わらないため、ジンバル撮影でも便利に使えるし、ドローンにも乗せやすい。そして、なんと言っても「塵」問題です。筒が伸びるということは、戻すときに筒についた塵が一緒に内側の方へ移動します。ズームを伸ばすということは、小さなゴミがレンズの中に入るリスクが高まるということ。
「防塵防滴でも安心できない!」
インナーズームはそもそも伸びることがなくズームができるため、塵が混入するリスクを大幅に下げることができます。(もちろん完璧に防ぐことは難しいでしょう)
なので、フードを逆向きにして保護フィルター(ND)をつけています。サイドと前面からゴミが入るのを少しでも減らす目的です。特に前面は、目に見えてレンズの中で筒が移動していることがわかるため、保護フィルターをお勧めします。
また、ズーム時の感触ですが…
最高!
です。
指一本で回せますが、勝手に回ることもなく、ほどよく抵抗を感じることができます。このズームの感触は、かなり評価が良いのではないでしょうか?本当に気持ち良く回せますよ。このズームが一番、このレンズで気に入っているポイントかもしれません。
それほどに良い!
リニアモーターを採用
フォーカス駆動用のアクチュエータには、リニアモーターを搭載しています。非常に静かなAFで、ほとんど音は聞こえません。XF60mmマクロのように、「ジージコジーコ」と必死にAFを合わせているレンズも可愛いのですが、標準ズームは「撮りたいものをすぐに撮る」ことが前提になるため、AFが早いに越したことはありません。
X-H2S + XF16-50mm f2.8-4.8のコンビは、本当に爆速AFです。
「XF16-55mmF2.8R LM WR」と比較してもワンテンポ早いくらいです。
っが、たまに後方に抜けるので(まだ改善されていない富士機特有の症状)、AF+MFの設定をしておくと安心です。※ただし、フードを逆さまにつけていると、MFダイヤルが塞がるため使えません。ちなみに、ズームはかろうじて使えます。
タフに使える進化した標準ズームレンズ
富士フイルムのレンズといえば「絞りリング」。印字こそありませんが、絞りリング自体はしっかりと搭載されています。
感触もいつものフジノンレンズらしくて気持ちよく回すことができます。
また、防塵・防滴・マイナス10℃の耐低温構造なので、過酷な場所にも気軽に持ち出すことができます。
手ぶれ補正なし
光学手ブレ補正(OIS)は、残念ながら搭載していません。
第5世代のXシリーズのボディには7段の手ブレ補正が搭載されています。標準ズームの焦点距離域では、レンズ内に手ぶれ補正があるメリットは小さいため、小型・軽量に重点をおいてなくしたものと考えられます。
なので、現行機で本体側に手ぶれ補正がついていない場合には、少し気をつけて撮影をする必要があります。
「脇を締めて息を止めて撮る!」
ゴースト・フレアの耐性も強い
逆光耐性が非常に高いです。
太陽から角度をずらしても、ゴーストやフレアが現れることはほとんどありませんでした。たまにフレアが出る?くらい?って感じです。
尚、常時フードを逆向きにして撮影をしているためであって、正しい向きでフードを被せていれば、ほとんどフレア・ゴーストは皆無なのでは?と思います。
半端ない解像力・解像感・高画質
標準レンズといっても、価格がそれなりにする高級なレンズです。画質には拘りたいですよね。ましてやスマホで撮る人が多い時代。
スマホの上をいく画質じゃなければ気持ちも上がりません。
「画面の隅々まで非常にシャープ」
画面の中央から周辺まで、そして絞り開放から素晴らしい解像感があります。色収差による色ズレもほとんどありません。
衝撃的な高画質で良いショックを受けたXF30mmマクロよりは少し解像感が下がる気もしますが、それでも十分な高画質を実現しています。ズーム全域でこれなので、あらゆるシーンで撮影したくなります。
また、ボケ味はとっても自然です。
まったくうるさく感じません。背景のボケも自然にとろけていく感じです。
丸ボケも綺麗です。
ハーフマクロが撮れる!驚異的な接写性能
ズーム全域での最短撮影距離は「24cm」。
最近のレンズでは一般的な距離ですが、ズームでも同じ最短距離を実現しているのが凄いところ。
上の写真は広角側で撮影した最短撮影距離の彼岸花です。
下の写真は望遠側で撮影した最短撮影距離の彼岸花です。
ここまでアップにすることができます。
フード先端から約12cmまで被写体に迫る事ができます。撮影倍率としてハーフマクロの性能があります。
ズームが繰り出さないため、最短撮影距離で撮影しても被写体への干渉がないのがとっても良く、使い勝手が最高です。
尚、最大撮影倍率は望遠端の焦点距離50mm(35mm判換算76mm相当)で0.3倍です。最大撮影倍率0.3倍といえば、お気に入りレンズのXF70-300と同等の性能です。
(望遠側・最短撮影距離、小指の第一関節半分くらいの花びら)
(望遠側・最短撮影距離 小指の第一関節くらいの花びら)
まとめ
希望小売価格は税込み121,000円。
「Oh… ここだけがBadポイント…」
性能だけみると、本当にキットレンズの標準ズームとして、ここまでてんこ盛りでいいの?っていう話になるのですが、値段を見ると、まぁこのくらいしますね…となります。
なので、可能であれば単体で購入するよりもキットレンズとして購入した方がかなりお得に買えます。実質的な価格は6万円前半くらいでしょうか?
単体で買っても、十分に満足ができる性能ですけどね。この単体の価格帯なら、他のレンズも購入候補に入ってくると思います。
っとはいえ、軽量コンパクトなことも含め、解像性能も素晴らしく、風景写真にも十分に対応できるでしょう。
広角 or 望遠 or 単焦点 + XF16-50mm f2.8-4.8で事足りることも多そうです。
総合的に、「インナーズーム」と「防塵防滴」と「軽さ」と「ズームの快適さ」で90点。「解像感」で追加点が入り120点。
しかし価格でマイナス20点となり…
お勧め度は「100点」です。