SONY α7SIIIは高感度にとても強い機種ですが、それをそのまま何もせずに使用すると、高感度の特性を生かせずにノイズの多い映像を記録してしまうことになります。
SONY α7SIIIでは、ソニーは認めていないものの「デュアルネイティブISO」と呼ばれる性能が存在することが判明しています。これは一定のISOを上げていき、ある値になると突然ノイズが少なくなる現象のこと。
ただ、Sonyのオフィシャルウェブサイトでシネマカメラの「VENICE、FX9、FX6、FX3」は全てデュアルネイティブ ISOを搭載していることが明記されています。 FX3とα7S IIIは内部構造ともに一緒だとされているので、α7S IIIはデュアルネイティブISO搭載と考えて良いでしょう。
特に暗所や夜などの暗い部分で撮影する場合はノイズが出やすいので、暗所部分でノイズを減らすことができるα7SIIIが注目されるところでもあります。
「どの設定にしておけばいいの?」
気になるのはここ。
どうせ撮るなら綺麗に撮影したいですよね?
昼と夜では光の環境が全く異なります。α7SIIIの特性を生かした撮影の動画設定とは?
α7SIIIはすごいカメラみたいパラ!夜もきれいに撮れるパラ!
動画撮影ではトップクラスに使いやすい扱いやすいカメラなんだ。いろんな人たちから高評価を得ている
暗所に強いα7sIIIのデュアルネイティブISO動画設定
記録方式はいくつかあります。
- XAVC HS = MPEG-H HEVC/H.265
- XAVC S = MPEG-4 AVC/H.264
- XAVC S-I = MPEG-4 AVC/H.264
HSは「HEVC/H.265コーデック」を採用しており、「AVC/H.264」と比較して2倍の圧縮効率です。少ない容量で記録できます。これは、画質を落とさずにデータ容量を半分にできるということ。
さらに言えば、「AVC/H.264」と同じビットレートを使用すると、HEVC/H.265の設定の方が画質が2倍良くなります。ただ、データが重くなるためパソコンでの編集が少し難あり。
また、再生・編集機器ソフトもHEVC/H.265に対応している必要があります。
「XAVC S」は汎用性の高い従来の記録方式に対して、「S-I」は低圧縮でデータは大きくなりますが、綺麗な画質で記録可能。パソコンへの負荷が少なく動画編集向けの記録方式です。
ソニーの動画形式はどれを使う?
編集時の軽さを考え、カラーグレーディングやクロマキーが前提となる映像制作では、圧縮率の低い「XAVC S-I」の記録方式がベストになるでしょう。
撮影したままの映像を見たいのなら「XAVC HS」ですね。
TwitterなどSNSにアップする程度でしたら「XAVC S」でも十分ではないでしょうか。
「XAVC HS」にしました。
個人的に選んだのは「XAVC HS」です。
仕様を見てみると、XAVC HS「3840 x 2160 (4:2:2, 10bit)」は60p使用時に200Mbpsで撮影でき、XAVC Sは60p (200Mbps)。つまり、XAVC HSで撮影すると400Mbps同等の画質になるはず。
撮影は1分程度の短い動画を書き出しするので、編集は色調整とカットくらい。動画同士を繋げたりエフェクトをかけていかないため、圧縮率と高画質な「XAVC HS」に決めました。
「XAVC HSは圧縮率と高画質の二刀流!」
ちなみに、30Pで撮影する場合、ビットレートが高い方が高画質になるので、XAVC S 4K、3840 x 2160 (4:2:2, 10bit)の30p (140Mbps)で撮影するよりも、XAVC S-I 4K、3840 x 2160 (4:2:2, 10bit)の30p (300Mbps)で撮影した方が綺麗に撮れます。
複雑な動画設定ですが、仕様を見て自分に合った形式を選ぶ必要があります。
その他の設定
- α7SIIIの内蔵マイクは録音レベルを20~25に設定
- 「撮影」→「撮影画面表示」→「記録中」 …撮影画面に赤枠を表示
- 背面ホイールでISO感度を調節できるようにカスタム設定
ISOの値で変化するノイズ量で朝と夜に適した設定
Webサイトから動画サイトなど、さまざまな情報を見てα7SIIIでノイズを減らす最も適した設定方法を選抜しました。
ただ、気象条件により当てはまらない場合もあると思うので参考までにしていただけたら幸いです。
昼の撮影はHLG
HLG(HDR)は、白飛びや黒潰れをしにくい撮影が可能になります。
最近ではスマホにも標準搭載されているポピュラーなものです。山を撮影したら雲が飛び、雲を撮影したら山が黒潰れしてしまう…。
そんな難題を解決できるのが「HLGモード」。
昼間で光が十分に入る時には、積極的に使ってみましょう。ノイズが少なく綺麗に撮影することができます。
- 昼
- HLG
- ~ISO 6400まで
- 露出 0
夜の撮影はS-Log3
夜は「デュアルネイティブISO」が大きく期待できる「S-Log3」を使います。
α7SIIIのS-Log3は、ISO1600あたりからISO10000あたりまでノイズが他の機種よりも多く出てしまい目立ちます。この間では、オーバーサンプリングがあるα7ivの方が綺麗に撮影できるでしょう(レビューによるとISO3200を超えたあたりから厳しいと言われていますが…通常使用なら8000まではいけるかと)。
α7SIIIのS-Log3は、ISO12800になるとノイズがISO800〜ISO1600同等に切り替わるとされています。つまり、ISO3200やISO8000を使うよりも、ISO1600を超えたら一気にISO12800まで振り切った方が綺麗に撮影することができるということ。
ただ、ここまで上げると動画撮影では白飛びする場面が出てくると思うので、NDフィルターを用意しておいた方が良いでしょう。夜にNDフィルターを使うって、ソニーSシリーズすごすぎる。
また、露出を少し上げた方がノイズが減ります。
- 夜
- S-Log3
- ISO 12800~ またはISO12800固定
- 露出 +2
- S-Gamut3.Cine
まとめ
- 昼 HLG ~6400 露出0
- 夜 S-Log3 12800~ 露出+2 S-Gamut3.Cine
こういうことですね。
HLGを常時設定にして、HLGはISOが6400を超えるとノイズが躊躇に出やすくなるので、S-Log3のISO12800に切り替えます。そしてNDフィルターで調整して撮影へ。露出の設定でもノイズ量に変化があるので、気にとめておきましょう。