アクアリウムで使用される照明には大きく分けて「蛍光灯」・「メタハラ」・「LED」の3種類あります。
どれを使用しても良いのでしょうか?
それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
光の単位を知る
アクアリウムで使う電気の種類は、「蛍光灯」・「メタハラ」・「LED」に分けることができ、まずは『光の単位』について知る必要があります。
ケルビンとは?
照明の光からは、「ケルビン」・「ルクス」・「波長」などが発せられています。
例えば、色温度を表す『ケルビン(K)』は、光の色を指しています。
この数値は水槽自体の透明度や色を左右する数値で、光の強さはまったく関係ありません。アクアリウムでは7000ケルビン以上のものが人気です。
これは透明度が上がって見えるためです。
上記の画像はケルビンを視覚化したものですが、7000ケルビン以下になると”黄ばみ”がかかったように見えてしまいます。
アクアリウムをする上で見栄えがあまり良くありません。
最近では白青の強い8000ケルビンや10000ケルビンを超えるものも注目されていますが、青々としたものは海水魚のアクアリウムに最適です。
尚、太陽光は5000kになります。
ナノメーターとは?
ナノメーター(nm)は波長で、電磁波の波の長さを表す単位です。
生物はこの波長を利用して生きています。
例えば、水草は赤色(600nm~700nm)と青色(350nm~450nm)の波長を主に使用し、光合成を行います。
つまり、光合成をするには「赤色」と「青色」の波長が必要だということです。
ところが、蛍光灯やメタハラの照明はこの波長を再現することが可能ですが、LED照明は赤色を出しにくい傾向が強いため、水草が育ちにくいデメリットがあります。
ただし、現在はLED開発が進み、ライトの種類によっては赤色もカバーすることができる製品があります。
ルーメンとは?
ルーメンは光の量を指しています。数値が大きいほど明るくなります。
ルクスとは?
ルクスは、照度を意味しており、光があたっている場所の光の量を指します。
数値が大きいほど遠くまで光が届くため、総合的な明るさにも影響するので、水草育成する場合にも重要視されます。
波長で赤色が弱いLEDを使用し水草が育つ場合は、このルクスを上げて補っていることが考えられます。
照明の種類
アクアリウムには複数種類の照明・ライトが存在します。これらはそれぞれに特徴を持つため、飼育する生体に合わせて選択する必要があります。
3つの照明の特徴を見ていきましょう。
蛍光灯の特徴メリット
蛍光灯は、アクアリウムの歴史が長いため、その実績からLEDが普及した今でも根強い人気があります。
蛍光灯の光の波長は赤色をカバーした商品が多いため水草育成に向いており、蛍光灯で育たない水草はほぼないでしょう。
初期投資はいるものの商品数も圧倒的に多く選択肢があり、蛍光灯が切れた場合でも数百円程度で交換することが可能で、どこにでも販売しているため入手も安易です。
さらに光量や色も変えることができるため利便性も高いです。
蛍光灯にも種類があります。
- スターター(グロースターター)式
…一般的な蛍光灯照明 - 蛍光ランプ
…FLと表記されています。水草育成に突出して向いていますが本体価格が高いです。
…FHFと表記されています。水槽用照明ではみかけなくなりました。
…FLRと表記されています。店舗や電車内などの業務用に使用されていますが、点灯管なしで多くのランプを一斉に速く点灯する事が出来ます。
蛍光灯の特徴デメリット
蛍光灯の明るさが次第に減少し、半年程度で交換が必要になります。
暗くなると水草を育てる能力も低下するため、蛍光管の取替えが必要です。
LEDの特徴メリット
LEDは発熱が少なく、光を飛ばす範囲も広く、電気代も抑えられ、さらに寿命も長いことから、アクアリウムでも今後の展開に期待されている照明です。
また、インテリア性も強く、光の色も手軽に切り替えることができるものもあり、そして重さ自体も軽いことから後押しされています。
一般的にLED照明は水草育成に不向きです。
これは波長に赤色を生成しにくい傾向があるからです。
しかし、最近は技術が進み、各メーカーが水草育成向きの光を出すLED照明を開発しています。これらのLED照明を使用すると水草を育てることが出来ます。水草がしっかり育つもの、そうではないものと製品により左右されるため、飼育する水生生物で選ぶようにしましょう。
現状では生体メインの水槽や光量をあまり必要としない水草のみの水槽などで使用すると、アクアリウムのインテリア性を向上させることが出来、部屋全体を一層グレードアップさせることが出来ます。
LEDの特徴デメリット
波長に赤系が不足してカバーしきれないため、光合成がしずらいです。LEDでも水草は育ちますが、しっかりと育つLED照明を探す必要があります。
また、LEDの寿命が切れると本体ごと買い換える必要もあります。
お勧めは「クリアLEDパワーⅢ」です。LED照明の中では比較的安価で十分な光量を持ちます。2灯式蛍光灯に匹敵する程明るいです。また、観賞魚飼育・水草育成用に使用できるタイマー付きの照明もあります。
また、同じ明るさの蛍光灯と比べると電気代は60%減と省エネで、1日12時間使用すると約9年程持つ計算になりますが、トラブルが起きなければ3年目から蛍光灯よりもLEDが有利になります。
この商品は「青」・「赤」・「白」と3つの光を使用しているため、蛍光灯2灯で育成可能な水草も育てることが出来ます。
メタルハライドランプの特徴メリット
野球場や車・バイクなどに使われている照明と同じ種類のものです。
水槽の上に置くのではなく、上部から吊り下げるタイプがほとんどになります。
水槽の上が常にオープンなため、照明を退ける必要がなく掃除が楽です。見た目も上級者らしさを出すことが出来ます。
野球場や車などのライトを見ても分かる通り、メタハラはすべての照明の中で最も強い光を放ち、最も太陽光に近い光を出します。
メタハラの光は点光源となり直進性が強いため、水深が深い場合は底まで光が届きやすくなります。
光が真っ直ぐ下に照りこむため、真下とそれ以外の箇所では光のあたり方に強弱ができ、影を作りやすい特徴があります。これは逆に自然界の雰囲気を出すのに最も適した光とも言えます。
ただ、影にある水草は当然育ちにくいです。
メタハラを使用している人の多くは複数台設置したり、影になる部分に水草を配置しなかったり、影でも育つ植物を配置していたりします。
特に海水魚や水槽サンゴ礁を育てる場合、LEDや蛍光灯では光が不足する可能性が高いため、強い光のメタハラを使用する人が多いです。
メタルハライドランプの特徴デメリット
デメリットは本体価格が高いです。
また、強い光を放つため稼働中は高温になり、電気代も高くなります。
水草の育ち方も早くなるためメンテナンスの時間が増えてしまいます。逆に強すぎる光のせいで植物が育たない場合もあり、コケの発生も促進されます。
まとめ
アクアリウムを快適に楽しむには照明が必要です。
アクアリウムの照明には大きく3つの種類に分けることが出来ます。
蛍光灯は中の蛍光管を取り替えると見た目の透明度も色も自由自在。魚メインで水草を育てないのであればLED。ランニングコストが高くて稼働時は高温になりますが自然体なアクアリウムが楽しめるメタハラ。
蛍光灯は1灯よりも2灯以上の方が良いです。生体メインなら1灯、水草も育てたくなったら2灯3灯4灯~、臨機応変に対応できます。
メリット・デメリットを知り、最適な照明を選択しましょう。