アクアショップはもちろん、最近ではゲームセンターの景品としても話題を集めているミドリフグですが、その姿形から「天使」という名前も持ちます。
ミドリフグはそもそも初心者でも飼えるのでしょうか?
ミドリフグの飼い方、毒性はある?
ミドリフグは、インドネシアやタイなどの温暖な河口に住んでいます。
河口なので完全な海水ではありません。
ミドリフグは汽水性の熱帯魚になり、基本的には汽水環境を作ることで飼育することが可能です。
ミドリフグは「フグ」です。
毒性はあるのでしょうか?
毒があったら大変です。
実は、ミドリフグにも毒があります!
釣りにいくと釣れるトラフグと同じようにテトラトキシンの毒を持ちます。エサに含まれるテトラトキシンを体内にため込むことができるのです。
しかし、成魚になっても15cmほどにしか成長しないミドリフグは、微量の毒素しか体内に蓄積することができません。
人間にはほとんど無害です。
ただし、食べたら危ないので食べないようにしましょう。食べるためにミドリフグを飼育したいと思う人はそういないと思いますが…
猫などを飼っている場合には誤って食べてしまう事故が想像できます。食べないように対策が必要です。
ミドリフグを飼うための水槽の大きさ
水槽の大きさはどのくらいが良いのでしょうか?
ミドリフグは2cm~3cm程度の大きさで売られています。45cm以下の水槽でも飼育できますが、成長すると15cm程度になるため、60cm以上の水槽があると安心です。
水量の少ない小さな水槽は、水の温度や水質が変わりやすいので注意しましょう。
水槽を設置する場所は、直射日光の当たらない場所で安定した台の上に置きます。
汽水水槽で水草は使える?
アクアリウムは水草と魚のコラボレーションが人気です。
癒しの水草は使えるのでしょうか?
ミドリフグの飼育は汽水を作らなければいけません。塩分が苦手な水草は枯れるので、入れることができません。
海水の4分の1の塩分濃度の汽水を作る場合は、ウィローモスならなんとか生きるかもしれませんが、枯れず成長せず…、の状態になるかも?
また、ミドリフグが食べてしまうかもしれません。
人口水草を選ぶと安心です。
ミドリフグのためのろ過フィルター選び
ろ過フィルターはどれが良いのでしょうか?
ミドリフグは大食漢で糞の量が多いです。
水槽内が汚れやすいのでろ過能力が高いフィルターを用意すると安心です。上部式フィルターや外部式フィルターがおすすめ。
外部式フィルターはろ過能力に優れていますが、密閉されているので酸素不足になりやすいです。出水口パイプを水面より高くしたり、エアポンプを併用すると良いでしょう。
フィルターは基準水槽サイズよりも上のものを選ぶと効果的です。
汽水域の塩分濃度の作り方
塩分濃度に気を付けながら週に1回、3分の1の水を入れ替えるようにします。
ミドリフグは幼魚時代を汽水域で過ごし、成魚になると海水域へ移動する習性があるため、成長に合わせて塩分濃度を変える必要があります。
ミドリフグの塩分濃度比重変更は、1日0.01までが限界だといわれているので、比重ショックを起こさないように時間をかけて濃度を変更していきましょう。
粗塩、ホームセンター、ペットショップで販売されている「海水の素」・「汽水の素」を使うと良いです。粗塩には海の水に含まれる微量成分が含まれていないため、原則は粗塩ではなく人工海水の素を使うようにします。
水に海水の素を溶かし、幼魚のうちは海水の4分の1程度の塩分濃度にします。体長が7cmを越えて成魚になってから2・3日程かけて海水の2分の1程度の濃度に変えてあげましょう。
淡水フグの飼育
汽水環境をつくるのは大変です。
ミドリフグを淡水水槽で飼育することは絶対に無理なのでしょうか?
実は、完全淡水対応のフグもいます。
飼育が簡単ですが、汽水のミドリフグの寿命が5年ぐらいに対して、完全淡水のフグの寿命は1年ほど。海水に近いほうがフグは健康になるといわれているので寿命は短くなるようです。
比重計が必要!
塩分濃度はどのようにしてはかるのでしょうか?
比重計を使います。
塩分濃度を測るには必須品です。
水槽の水の蒸発にも注意が必要です。水槽の水はたえず蒸発しているため、知らないうちに塩分濃度が濃くなっていく可能性があります。カルキ抜きした水道水などの真水を足し、水にして塩分濃度を調整しましょう。
ミドリフグに照明は必要?
ミドリフグの飼育には照明が必要なのでしょうか?
魚は昼と夜の区別をしっかりとつけたほうが体内リズムを整いやすくなります。照明をつけたほうがミドリフグの背中のグリーンも綺麗に映えます。
ただし、1日8~12時間程度の点灯にすると、コケが発生する原因にもなるので調整が必要です。
ミドリフグの飼育で水温と水質
水温は何度が良いのでしょうか?
水温は22℃~28℃にしましょう。
水質は弱アルカリ性です。
ミドリフグの適温は26℃前後。22℃~28℃から外れそうな場合は、「ファン」・「クーラー」・「ヒーター」で対処します。
とくに冬はヒーターが必要になります。
また、弱アルカリ性はpH7.8~8.5。
低床にサンゴ砂や珪砂を使うとアルカリ性に傾くので便利です。
ミドリフグのエサ
エサは1日2回。
ミドリフグは金魚のように人へ近づいてエサを欲しがるので、あげ過ぎてしまいがちです。与え過ぎは病気を引き起こす原因になり、残りエサや糞の量も多くなるため水質を悪化させる原因にもなります。注意しましょう。
ミドリフグの餌は「人工飼料」・「赤虫」・「クリル」・「しじみ」など。
赤虫には「冷凍赤虫」と「乾燥赤虫」の2種類があります。
クリルはエビを乾燥させたもの。乾燥赤虫は消化不良を起こしやすいので、与える場合は様子を見ましょう。冷凍赤虫に食いつきが良いので、クリル・人工飼料で栄養バランスを整えるとようにするといいです。
量はどのくらい与えればいいのでしょうか?
目安は、お腹が少しぽっこりとふくれる程度です。
やりすぎには注意。
まとめ
ミドリフグはじわじわと人気が出ており、アクアショップの他にもホームセンターで見かけるようになりました。
汽水域の環境を作ると長生きをしやすいのですが、淡水環境でも飼育が可能な種類がいます。ミドリフグのホバリングなど、一風変わった楽しみ方をアクアリウムでしたい人にはお薦めな魚です。