水草を水槽に投入する場合、どのようにして固定しますか?
- ソイルなどの底床に埋めるタイプ
- 石などに釣り糸を使用して巻きつけるタイプ
- 石などに挟み込むタイプ
- そのまま浮かべておくタイプ
それぞれ水草の特徴によって異なります。
水草の中には埋め込まなくても浮かべておくだけで成長し育つ水草がありますが、レイアウトを考える上では、このような水草も見た目によっては沈めておきたいところです。
そこで鉛を使う場合がありますが、成分的に生態への影響はないのでしょうか?
割ビシの鉛を水草のオモリに使う
水草は基本的に葉っぱが柔らかいため、すぐに取れてしまいます。
石や枝に釣り糸でくくりつける方法がありますが、レイアウトを考えないと見た目が悪くなってしまいます。
重りを水草につけると良いでしょう。
アナカリスなら50円で買える「割ビシ」が便利。
しかし、水草に重りをつけて沈めたいのですが、アクアショップで水草を購入している際についている「鉛」を使用しても魚やエビなどには影響がないのでしょうか?
割ビシを水草につけるポイント
アナカリスの下についているのが割ビシです。
割ビシは釣具店や100円均一にも置いてあり、本来は釣具の針や糸につけて使用するものです。水草で使用する場合はペンチなどは使いません。指で少し力を入れると開くので、簡単に貝のように明け閉じが出来ます。
ちなみに釣りで使用する場合はペンチなどを使いガッチリと固定するため、使い捨てにする場合がほとんどです。
水草の根付近にある葉っぱを取り、そこに割ビシをつけますが、重要なのは閉じすぎないこと!
水草にとって根は非常に重要な部分です。取れない程度に軽く締めてそのまま水槽に入れると直立した状態で沈ませることが出来ます。
割ビシ自体も小さいため目立つことはありませんが、気になる場合は底床に軽く埋めると良いでしょう。動画内のアナカリスにはすべて割りビシをつけて沈めています。岩や土に隠すようにレイアウトを行うことで目立ちません。
しかし、鉛は身体に悪いイメージがあります。
悪い成分が溶け出しそうですが…大丈夫なのでしょうか?
さまざまな論文・研究結果から、鉛が生体に悪影響を与えることは事実です。問題はその影響によって寿命を全うできずに死んでしまうかどうかということ。
水槽に鉛を使っても大丈夫?いや危険?
鉛は普段食べている食物にも極微量が含まれているため、日常的に摂取しています。
通常は身体に含まれる鉛は排出されてバランスを保っていますが、鉛の量が排泄する量に追いつかず体内に蓄積された場合は、健康に悪影響を及ぼすと言われています。
鉛を水に入れると「酸化皮膜」が生まれるため、ほぼ溶けることはありません。
ただ、水のph値(水質)が高い酸性の場合だと酸化皮膜が溶けてしまい、水と鉛が接することになります。ホームセンターなどで販売されている水草には鉛が付いていますが、基本的には影響がないとされています。
問題は質の悪い鉛の場合で、長時間水中に入れておくと水に溶け出して何らかの影響が出てしまう可能性は捨てきれません。
そもそも水草の根元を鉛で巻いてある理由は、展示販売用水槽において株がまとまり、上に直立させることが出来るためです。束売りがしやすく合理的。
これは「見栄えをよくするため」のもの。
同じ販売店でも、販売ではなくレイアウトとして使用されている水槽には鉛が付いていないと思います。巻きつけたままにしておくと、そのあたりの茎が腐ってしまうからです。
さらに通水性が悪い為、一度腐りだすとどんどん広がっていってしまいます。
茎が腐ることにより水草の根貼りが悪くなるため水草は根からの栄養吸収が困難になり、生長障害が発生して全体が腐れていきます。
上記のアナカリスの割ビシを緩く閉めるのも根を守るためです。
「魚やエビに鉛の影響が出る前に一生を終えるから問題ない」という意見もあれば、「鉛で病気になりやすくなる」という意見があります。
鉛の水槽にミナミヌマエビは1年生きられるか実験
※当実験はすべての水槽に当てはまるわけではありません。
この実験は1ヶ月に1度の更新になります。
実験期間は半年程。
水量と鉛の量を考慮し、参考程度に考えて頂ければ幸いです。
『11月23日』
重りは釣りで一般的に使用される「鉛、中1」・「割ビシ14」。
この実験に協力してくれるのは水質に敏感な幼エビ(9月頃誕生)で、ミナミヌマエビ×5。このエビくんたちにより、今後、多くの魚とエビの将来がかわります。
水槽はタッパーを使用し、カルキ抜きをした水道水を入れ、アナカリス×2を投入。真ん中には鉛の変化がよくわかるように、先程の鉛を入れ物に集めています。
飼育場所は屋外にセットしました。水換えをしてしまうと鉛の成分も出ていく?ため、水が減ったら「加水」を基本にし、1ヶ月に1回100mlの水換えを行います。
ミナミヌマエビが砂利色の保護色に変化し、見つけにくかったので砂利は取りました。かわりに足場件、隠れ家として石を1つ入れています。
また上記に加え、丸鉛×29、大鉛×1、割りビシ×14(合計28個)追加しました。
まだ子どものミナミヌマエビで来年まで生きていれば少量の鉛は問題ない結論になります。
逆にすぐに落ちてしまうようなら鉛は使わないほうが絶対に良いという結果になります。23日現在、5匹とも元気いっぱいです。次回更新は12月はじめを予定。
『12月1日』
「ミナミヌマエビ 5」
「メダカ 7」
肌寒い日や極寒のような寒さが入り乱れる1週間。11月26日に9月頃に誕生したメダカを×6・7投入しました。
上記で取り除いた砂利を少々再投入しました。
っというのも、想定以上にミナミヌマエビの糞や食べきれなかった残り餌が沈殿化していたため、水質の悪化が早まること、そして1か月に一回の少量水替え時に行う簡単な掃除が大変だと判断したためです。(今回は沈殿化したものをスポイトで取り除きました。)
そこで砂利をいれてバクテリアの力を借ります。まだ1週間ですがミナミヌマエビとメダカどちらとも元気です。次回は1月頭更新予定。
『1月3日』
「ミナミヌマエビ:5-1」
「メダカ:7-1 」
12月半ばになると、藻が大量に発生しました。
上記の写真は可能な範囲で緑藻を除去したものです。まだ1ヶ月ほどですが、ミナミヌマエビが1匹落ち、メダカも1匹落ちました。残り6匹のメダカは元気です。
ミナミヌマエビは少し元気がなさそうに見えましたが、触ると飛び跳ねて元気はあるため、おそらく屋外飼育で水温が低下したためだと考えられます。
現段階では鉛が原因で死んでしまったとはわからないため今後に注視します。藻の大量発生により酸素不足の可能性も。次回は2月頭更新予定。
『2月1日』
「ミナミヌマエビ 4」
「メダカ 6」
ミナミヌマエビ、メダカ共に落ちること無く生存しています。前回の藻が繁殖したタッパーでは流石に可哀想だったので、赤玉土に入れ替えました。
※飼育水はそのまま使用しています。また鉛もそのまま入れています。
飼育水と鉛を移植したのは1月上旬でしたが、流石赤玉土といったところで、透明度を維持しています。前回の砂利と比べると一目瞭然です。飼育水をそのまま入れているため、藻が赤玉土の底に沈みましたが、今の所は増殖出来ていないようです。
メダカは順調に成長して少しだけ身体が大きくなりました。
水温が低い割に食欲もあります。
ミナミヌマエビは反面、生存はしていますが元気がない状態が続いています。一匹落ちるかな?と心配な子がいます。水温なのか鉛の影響なのか?次回は3月頭更新予定。
『3月1日』
「ミナミヌマエビ 4」
「メダカ 6」
水温が少しずつ上がり、まだあまり動かないものの、ミナミヌマエビの活動が上がってきたように見えます。メダカは縄張り争いもしながら順調に成長しています。容器はグリーンウォーターに少しだけなりました。次回は4月頭更新予定。
『4月1日』
「ミナミヌマエビ 4」
「メダカ 4」
ミナミヌマエビは活動が高まり、ツマツマと藻を食べています。4匹ともよく跳ねるため元気です。特別目立った異変はありません。
やはり寒い季節のため動きが鈍くなっていたのでしょう。一方、メダカは立て続けに死んでしまい6匹から4匹になりました。
水質に敏感なミナミヌマエビは問題がないようですが、メダカには鉛の影響が出たのかも知れません。
ただ生存しているメダカはすっかり大人のサイズになり、餌も食べて元気です。実験は来月5月頭までになります。
『5月1日(実験終了)』
昨年の11月から実験をスタートして半年が経ちました。実験終了です。ミナミヌマエビ5匹・メダカ7匹で実験をしましたが、鉛の環境で半年間の結果、「ミナミヌマエビ4匹・メダカ4匹」となりました。先月から変わりません。
一時期、グリーンウォーターになっていましたが、周辺の藻は付いているものの半月程で透明な水になりました。写真は3割増し程汚れて見えています。
同じ場所にプラ舟のビオトープがあります。
赤玉土を入れていますが、壁に緑苔ではなく茶苔で、底にも藻が繁殖していません。水も透明です。やはりガラスやアクリルなど透明の容器は藻が繁殖しやすいのでしょう。屋外飼育はプラ舟がお薦めです。
メダカに異変が起きました。
4月5日くらいでしょうか?
稚魚のときは正常だったメダカの背骨がグニャっと折れていました。
そこから約1ヶ月間様子を見ていましたが生存しています。餌もなんとか食べることが出来ているようです。排泄も出来ているのでしょう。身体は曲がっていますが元気です。
他のメダカ3匹は追いかけっこをしたり、喧嘩をしたり、仲良く泳いだり、すっかり大人のサイズになり元気いっぱいです。餌も問題なく食べています。
続いて水草です。アナカリスを2本入れましたが全く育ちません。
プラ舟に入れているものは寒い期間ながらも枯れずに育っているのですが、飼育ケースに入れたこちらのアナカリスは藻もつきボロボロです。
実は1度、2月の頭に2本の水草を入れ換えているのですが、その理由は枯れてしまったからです。新しく入れた2本もまったく成長せずに枯れました。
ミナミヌマエビは寒い期間は動かなくなり冬を越せないものがいましたが、この3月後半ぐらいから除々に活動が活発化し、4月後半にはジャンプをするほどよく動きます。写真には2匹しか写っていません。
鉛でミナミヌマエビやメダカは死ぬ?実験結果
「メダカ」
当サイトでは、鉛がメダカに影響すると判断します。鉛の成分により「奇形」が誕生する確率が増える恐れがあります。
割りビシなど小さな鉛を数個入れるだけなら問題ないかも知れませんが、鉛の数が多いと成長過程において「負」の部分が出てくるかも知れません。
「ミナミヌマエビ」
当サイトでは、鉛がミナミヌマエビに影響すると判断出来ません。
エビ系は環境の変化に敏感なため、真っ先に身体に変化が出ると思いましたが意外な結果になりました。鉛よりも寒さに気を付けた方が良いです。ただ、在来種なので日本の冬は越せるでしょう。
「水草」
当サイトでは、鉛が水草に影響すると判断します。上記でも説明をしたとおり2回ともボロボロになって枯れました。鉛の成分が水草の成長に悪影響を与えたのかも知れません。
結論
アクアリウムは、魚・エビ系・水草などがいて、それらを上手く組み合わせながらレイアウトすることで最高の癒やし空間を手に入れることが出来ます。
魚やエビなどにとって水草は隠れ家でもあり非常食ともなるので絶対に入れておきたいものです。
鉛を入れて水草をいれると枯れてしまうため、結論として『アクアリウムには鉛を使わないほうがいい』という結果になりました。
ただ、生き物なので身体の強弱があります。参考程度に!
まとめ
実験で頑張ってくれたメダカとミナミヌマエビは、別のプラ舟で作った以下のビオトープに引っ越しです。急に広くなったので最初はビックリしていましたが、今では元気に泳いでいます。
もちろん、背骨が曲がっているメダカも一緒です。
鉛から溶け出す成分が生物に悪影響を与えることは広く知られていますが、身体の小さな生き物にとっては、特にその寿命をまっとうする間でどれほどの致命傷を受けてしまうかに左右されます。
アクアリウムでは可能な限り自然界にあるものだけで揃えたいですね。