アクアリウムで飼育をされる魚たちは、限られた空間の中で生きています。
その水をきれいに維持する装置がろ過フィルター。
ろ過には「物理ろ過」・「化学ろ過」・「生物ろ過」の3つの効果により水をきれいに保つ働きをしています。しかし、ろ過といってもその種類は豊富です。
- 外部フィルター
- 上部フィルター
- 底面フィルター
- 外掛けフィルター
8種類ほど存在します。
数が多いと人は「迷い」を生み出しやすいですが、どれを選んで良いのかわからなくなります。アクアリウムを長く続けられる自分に適した、失敗しないろ過機はどれを選べば良いのでしょうか?
ろ過フィルターの種類
水槽をセットするときに一緒に用意をするろ過フィルター。
種類がたくさんあるため「用途」と「目的」で選ぶと良いです。
ろ過フィルターの種類は多いため一般的に使用される頻度の高いフィルターを見ていきましょう。
外部式フィルター『水草育成に最適』
外部式フィルターは「パワーフィルター」とも呼ばれています。
密閉可能な濾材を入れる濾過槽を水槽とは別に用意します。
水槽からホースを使い濾過槽の中に送る。そして濾過槽に入った水をきれいにしてから水槽内に戻す仕組みです。
水槽から濾過槽へ重力を利用して水を落下させるため、濾過槽は基本的に水槽より下に設置する必要があります。
サイフォンの原理を利用した方法です。
水を濾過槽に一度取り込むためにホースを吸う工程がいりますが、吸いすぎると水槽内の水が口の中に入ってくることもあります。外部式フィルターでは「あるあるネタ」です。
水を水槽面までサイフォンの原理により持ち上げるのですが、その先から水槽の中に水を戻すことができません。その数十センチを押し出すためにモーターを回して力を補助します。
外部式フィルターの最大の特徴は濾過槽が密閉されていること。密閉をしたことで水草育成に有利に働きます。その理由は、水草に必要な二酸化炭素(CO2)を添加した場合に濾過槽から水槽に水が戻る間も空気中に逃げにくい構造になっているため。
水草の育成には二酸化炭素が必要なものが多いです。
効率良く二酸化炭素を逃がさない構造の外部式フィルターは健康的な水草育成に適しています。
メリット
- 密閉されているため作動音が小さい
- 静音性が高い
- 水が空気に触れないため水中の二酸化炭素が逃げない
- 水草育成に向いている
- 給排水パイプが非常にスッキリ
- インテリア性が高い
- 他のフィルターに比べて濾過槽が大きい
- 濾過能力が高い
デメリット
- 水槽以外に濾過槽の設置スペースが必要
- 値段が高め
- 濾過槽の水が空気に触れない
- 酸素不足になる可能性
- バクテリアがろ過内で生存しずらい
- フィルターが詰まりやすい
- 掃除が面倒
- モーターで水を送るまでに手間がかかる
上部式フィルター『生体と水草育成に最適』
上部式フィルターは水槽の上部に乗せて使うフィルターです。
モーターの力によりポンプで汲み上げた水を水槽上部の濾過槽で濾過をしたあとに再び水槽の中へ戻します。
上部フィルターは水槽上部に設置します。そのため横幅は水槽と同じ大きさに揃える必要があります。例えば90cm水槽の上に45cm用の上部式フィルターを設置しても置くことができなかったりろ過能力不足に陥ります。
上部フィルターは外部式フィルターとは違い密閉されていません。
多くの酸素を供給することができる利点があります。生物の育成に向いてるフィルターです。濾過能力は「物理」・「化学」・「生物濾過」のバランスが良いフィルターとして定着しています。
しかし、フィルターの下が陰になるため水草に光が当たりにくい…
植物は光に向かって伸びる性質があるため植物が光を求めることから水槽の前へ向かって伸びてしまうことで見た目のバランスが悪くなりやすいです。
また水と空気がよく触れあうため酸素の供給には優れていますが、水中の二酸化炭素は逃げやすい環境になるため、水草育成には不利に働きます。
メリット
- 濾過能力が高い
- 値段が安い
- 生体が育てやすい
- メンテナンスがしやすい
- 中~大型の魚にも向いている
- 新鮮な酸素を多く供給し酸欠を防ぐ
- ろ過器の中でバクテリアが大量に繁殖する
デメリット
- 作動音が大きめ
- 落水音が気になる
- 排水部分の位置を変更することが困難
- 水槽上部を覆うためメンテナンスがしづらい
- インテリア性が落ちる
- 水槽上部を覆うため照明に影ができやすい
底面式フィルター『生体(特に稚魚)に最適』
水槽の底面に敷いて使うフィルターです。
底に敷いたフィルターの上に「底砂」・「ソイル」などを敷くことで酸素を送り込み水槽の底面にバクテリアを大繁殖させます。
水槽内の汚れを低床に落としバクテリアに分解させ、分解されたきれいな水をエアポンプ・水中モーターで上部に持ち上げながら水を循環させます。
尚、底全面にフィルターを敷く必要はありません。
水槽上部がスッキリするため水槽の管理がしやすくインテリア性は抜群です。
水流も比較的弱くすることができるためメダカなどの水流が苦手な生物に向いています。繁殖水槽や稚魚用の水槽にも最適なフィルターになります。
メリット
- 値段が安い
- 底砂全てが濾材になる
- バクテリアにより濾過能力が非常に高い
デメリット
- 定期的な底砂の掃除が必要
- メンテナンスが面倒
- 水草育成のために底砂に肥料を入れても溶けだす
外掛け式フィルター
水槽の縁に掛けて使用するフィルターです。
濾材に活性炭などの吸着性のものを使用する場合が多いです。ろ過スペースが少ないため定期的な交換が推奨されています。
また活性炭だけでは濾過バクテリアが定着しないため、生物濾過を機能させるためリング濾材などを入れる場合も多いです。
外掛け式フィルターは比較的水槽サイズが小さなものに使われることが多いので、小さな水槽とフィルターのバランスが重要です。
水槽サイズに対して水流が強すぎると熱帯魚を弱らせてしまうことがあります。水槽の中に休息ができる場所を考えておきましょう。
メリット
- 値段が安い
- 小型で場所をとらない
- 水槽上部がスッキリする
- メンテナンスがしやすい
- 音が比較的静か
デメリット
- 濾過槽が小さい
- 濾過能力が低いものが多い
- 水槽のサイズに対して水流が強いものが多い
投げ込み式フィルター
フィルター本体を水中に入れて使用するフィルターになります。
水中フィルターとも呼ばれていますが、エアーポンプにより水を循環させるタイプ・水中ポンプにより水を循環させるタイプの2種類があります。
単体でも使うことができるのですが、大型魚のいる水槽では酸欠を防ぐためにサブフィルターとして使われることも多いフィルターです。
メリット
- 値段が安い
- 稚魚などを吸い込みにくい
- エアーポンプのタイプは酸素を供給できる
- 水槽のメンテナンスがしやすい
デメリット
- 濾材容量が小さい
- 濾過能力が低い
- メンテナンスの頻度が高い
- 水槽内にあることで目立つ
スポンジフィルター
エアーポンプをつなぐことでエアーを送り込み、その力で水槽内の水をスポンジ部分から吸い上げながらろ過をさせるシステムになります。
スポンジ部分には物理的なゴミも付着しますが、スポンジ部分には酸素が豊富に集まるためバクテリアも繁殖しやすいので、生物ろ過に向いています。
また飼育水を吸い込む部分がスポンジの細かい形状のため稚魚・稚エビを吸い込む心配がありません。そのため繁殖水槽にもよく使われているフィルターです。
メリット
- 価格が安い
- スポンジの目が細かいため稚魚や稚エビが吸い込まれない
- エアレーション効果がある
- スポンジがエビの足場になる
- スポンジ部分に餌などが付着するとヌマエビのエサになる
デメリット
- スポンジが大きいため目立つ
- 60cm水槽以上では力不足になりやすい
まとめ
アクアリウムに必要なろ過フィルターの種類は多くありますが、基本的に「物理ろ過」と「生物ろ過」が重要です。
匂いや水色などを除去できる化学ろ過も大切ですが、水槽の中にいる生物が長生きする環境を第一に考えることが大切です。
ろ過フィルターは適用規格の水量よりもワンランク上のものを選ぶと水質も安定しやすくなります。ただし、水量の排出が水槽のサイズに比べて強くなるため、水流が強くなりすぎないように注意が必要です。
例えば30cm水槽に90m用のフィルターを使用すると洗濯機の状態になり魚を弱らせてしまうので注意が必要。飼育したい水中生物によりろ過器フィルターを選ぶと良いでしょう。
それぞれに適した特徴を持っています。