海釣りでは釣った魚を生きたまま持ち帰り、海水魚として水槽にいれることが出来ます。
川釣りの場合は基本的に淡水魚が釣れるため、生きたまま持ち帰り水槽で飼育する場合は、海水魚と違い、塩分濃度を計らなくて良いメリットがあります。
日本の川には「ウグイ・ハヤ・カワムツ・ヌマムツ・オイカワ・ヨシノボリ・ドジョウ・鯉」など、多くの生物が住んでいるため、身近な生き物を育てるのもアクアリウムの魅力になります。
カワムツの生態と川で釣る(採取)
釣りで食べるのを理由に魚をとるのも良いです。
食べる以外にも、観賞用に水槽にいれることもできます。
その釣った魚は「カワムツ」という魚です。
他にも日本の川には「オイカワ」がいます。オイカワはカラフルな色で観賞魚としても人気があります。今回は比較的どこにでもいるカワムツの生態を見てみましょう。
カワムツはコイ科の淡水魚です。
体長は10cm~20cmほどに成長します。
生息場所は、本州を始め、四国・九州、朝鮮・台湾・中国と広い地域に生息しています。
水が綺麗な川を好み、人が川遊びをするような場所にもいますが警戒心が非常に強い魚です。人が近付くと素早く逃げてしまいます。
自然で生息しているカワムツの寿命は、人の手によって飼育されているカワムツより短く、3年~4年程度といわれています。
飼育されたカワムツは8年程度と倍は生きます。
料理としては、甘露煮・から揚げなどに食用されることが多い魚です。
カワムツは川で釣りをして採取
カワムツは身近な川に生息をしているため、観賞魚目的でも釣りをして採集すると楽しみが増えます。ペットショップで購入する場合は取り寄せになるかも?
一般的な川釣り方法
仕掛けは簡単です。
リールの先に「ウキ→重り→サルカン→ハリ→エサ」の順で仕掛けます。
後は、川の流れに任せて食いつくのを待ちましょう。
カワムツは比較的流れの穏やかな場所を好みますが、野生化では上流から流れてくる餌を待ち構え、絶えず流れに逆らって泳いでいるため、泡が立つほどの流れの早すぎる場所にはあまりいませんが、比較的流れの早い場所にもいます。
流れが速すぎる場合はウキがすぐに流されてしまい、魚が餌に食いつく暇もありません。程よくゆっくりと流れていく速度が好ましいです。
流れの早い場所で行う川釣り方法
場所によっては魚がいるのはわかるものの、川の流れが速くててウキが使えない場合もあります。
その時は、「重り←餌←ハリ←サルカン」で仕掛けましょう。
重りが沈み、餌が流れるのを防いでくれます。
ただ、流れに逆らい水中で止まっている物体(エサ)になるため魚が警戒をする可能性もあります。サルカンから針までをつなぐ釣り糸は30cmは欲しいところです。
重りが沈み餌が浮きますが、水流によって不規則な動きをします。
この動きは自然界が作り出すルアー釣りのようなもの。
魚が弱っている生き物だと勘違いをして食いつくわけです。
ただ、この仕掛けは当たりが分かりづらいため頻繁に釣れていないか確認が必要です。
ちなみに、上記2種類の方法でカワムツが釣れています。魚を釣った場合は人の手ではなく、タオルで包むようにして針を外します。人の手は冷たい川で生きる魚にとって高温です。火傷をしてしまう危険があります。また、針は丁寧に外し、捕獲段階で病気にかかっていそうな個体の場合はそのまま持ち帰らずに川へ逃がします(リリース)。
カワムツの稚魚を網ですくう
魚の稚魚は、人がすぐに覗けるような非常に流れの緩やかな場所にいます。
大袈裟に言えば、川の流れが止まっている場所です。
水深が浅く、水草や障害物があると大きな魚から食べられる危険が減るからです。5月から8月の間に見られますが、9月~11月になると少し身体の大きな個体になっています。
生まれたばかりの稚魚は比較的簡単に網ですくうことが出来ます。
水槽に使う100円均一の「大の網」でも簡単に採取できます。身体が大きくなると動きが俊敏になるため、10月~11月の個体は長い棒の付いた魚とり網の方が効率が良いです。
これらの稚魚は身体が弱く、稚魚のいる川隅で石を使い大きな音を立てると気絶をするくらい敏感です。採取した時にショック死する個体も少なくないので細心の注意が必要です。
※生態系を維持させるためにも乱獲はやめましょう。
稚魚を水槽にいれる場合は、死んでしまった場合を考えて飼育可能な数+2程度で様子を見てみると良いかも知れません。
飼育後も全て生存し成長を続け、どうしても水槽で飼えない場合は採取した川へ数匹逃がしてあげます。カワムツは縄張り意識が強いですが、集団でいることが多いので2匹以上いると安心すると思います。
カワムツの飼育方法
淡水魚は比較的飼育しやすい魚で、カワムツも例外ではありません。
ただ、カワムツは暑さに弱い魚として知られています。
水温が30度を超える場合は、ファンや冷却クーラーを使用しましょう。冬の水温には耐えられますが、夏の水温には気を付けてください。
必要な道具は、「ろ過装置・底砂・水草・エアポンプ・水温系等」です。
低床
低床はなくても良いですが、あるほうが魚が安心します。
また、低床がないとバクテリアが住みつくことや繁殖が出来ないため、頻繁に適切な水替えが必要になります。
低床を入れる場合は1cm弱の厚みで「砂利」または「川砂」をいれると良いです。魚のサイズが10cmを超えた場合、ソイルや砂は魚が暴れる度に吹き上げてしまい、フィルターがすぐに目詰まりを起こします。
エアポンプとろ過器
ろ過器は複数種類ありますが、魚の大きさが15cmを超えることを考えると、上部式フィルターか外部式フィルターがおすすめです。
エアポンプは必要です。
酸素消費量の多いカワムツにたっぷりと酸素を供給してあげましょう。上部式フィルターはその仕組みから酸素をたくさん含みながら水槽内に戻ります。
外部式フィルターの場合は排水口を水上付近に上げ、水面をたくさん揺らしてあげます。この酸素に保険をかけるつもりで、エアポンプをつけていると安心です。
また、カワムツは水流の流れに乗りながら餌が流れてくるのを待つ魚なので、水中モーターを設置し、水流を作ると喜び、水流が出来ることで水槽内に酸素がくまなく行き届きバクテリアが活発に活動します。
水草とレイアウト
野生の魚を採取してきた場合は、警戒心が非常に強い状態です。
特に全面が透明になっている水槽に入れるため、野生の魚は経験をしたことのない恐怖の空間にいます。
水槽の後・左右を暗めの壁紙で覆いましょう。また、水槽内にも隠れ家を用意してあげると良いです。可能な範囲で流木や水草を使い自然界にいた状態を再現します。
15cmを超える個体は水槽が90cmあると大丈夫ですが、60cmの場合は隠れ家を作ると泳ぐスペースに限りが出るかもしれません。
泳ぐスペースを広く、隠れるスペースを抑えてレイアウトするのがポイントです。また、暴れた時に流木など、レイアウトの出っ張りで怪我をする危険があるため注意が必要です。
水草は丈夫な「アナカリスやカボンバ、マツモ、アヌビアス・ナナ」がおすすめ。
カワムツの餌
カワムツは雑食のため何でも食べます。
ウイナーや水で固めた小麦粉なども食べますが、水質がすぐに悪化をしてしまうため、市販されている餌を買うと良いでしょう。
金魚の餌で代用できます。
また、川魚用の餌も販売されているためホームセンターやペットアクアショップなどでチェックしてみましょう。
春~秋にかけては比較的よく食べるます。
1日2~3回、数分で食べきる量を与えましょう。
13℃を下回る場合は消化能力が低下をするので様子を見ながらエサの量を調整します。エサが足らないと魚がやせたり死亡したりする場合があるので、日々の観察が欠かせません。
エサは沈下性・浮上性のもの、どちらでも大丈夫です。
稚魚の場合は金魚やメダカの餌をすりつぶすか、稚魚用の餌を与えましょう。口に入る大きさの餌しか食べることが出来ません。
また、野生から採取した後に餌を食べない場合は警戒をしているためです。3日程すると食べるようになりますが、水槽の環境に早く慣れさせるために隠れる場所を設置して静かにしておきましょう。
尚、カワムツは水流の流れに乗りながら、餌が流れてくるのを待つ魚です。水中モーターを設置して水流を作り、その水流に乗るようにプレコの餌やザリガニの餌などを流してあげると食いつきが良くなります。プレコのエサは小さく砕いてから与えます。
カワムツを飼う際の注意点
カワムツは高水温に弱い生き物です。
30度以下になるように気を付けます。
ヒーターはしなくても良いですが、1日で水温変化が大きすぎる場所に水槽を置くのは控えましょう。例えば、エアコンで部屋の温度が乱高下をするリビングなど。
また、カワムツは飛び跳ねる魚です。
水槽の高さに合わせて水を入れてしまうと、飛び跳ねた勢いで水槽の外に出てしまい、気づいた時には時すでに遅しの事故も考えられます。かなりの頻度で飛び跳ねて、水槽の蓋をバンバンするほどです。
10cm程水位を下げても水槽外に出てしまう恐れがあります。
飛び跳ね防止の蓋をするなどで対処しましょう。
ちなみに水槽が小さい程、魚はジャンプをする回数が多く、水槽が広ければその回数も少ない体感です。ただ、広い池や川でもジャンプをするので参考までに。
カワムツは丈夫で飼育がしやすい川魚になります。日本の川にいる魚を手軽に観察できる種類です。
まとめ
水量は多ければ多いほど落ち着き、ジャンプの回数も減ります。幼魚も水量が少ないとジャンプをするので注意が必要です。蓋をしっかりとつけておきましょう。
釣ってきた魚は食べるイメージが強いですが、育てるために釣りをするのも楽しいです。